母が大切にしていたネックレス
もうこの家には自分の居場所は無いと思ったじゅんは、出ていく準備を始めた。そして、母の形見のネックレスを持っていこうと、引き出しからケースを取り出した。それは、母が「幸せになれる魔法がかかったネックレス」と呼んで大切にしていた物で、入院する時にじゅんに譲ったのだった。
その時の母とのやりとりを懐かしく思い出しながらケースを開けると、ネックレスがなくなっていた。あちこち探したがどこにも無い。「絶対にアイツだ」。じゅんはらんの部屋に行き、彼女の引き出しを探った。ネックレスは見つからなかったが、ゴミ箱の中から妊娠検査薬を見つけた。
帰宅したらんの胸には、母のネックレスがかかっていた。やはり、らんがまた奪っていたのだ。返せと迫るじゅんに「やだ」とネックレスを握りしめるらん。じゅんが母から貰ったと知ったらんは、ショックを受けた表情で「いつ…?」と尋ねた。母が宝物を自分ではなく姉に譲った事が悲しかった。
「アンタがお母さんの面倒も見ずに、好き放題やってる時に!」とじゅんに言われたらんは、自分は結婚して時間も無かった、と言い訳を始めた。そんな事はじゅんにとってはどうでもいい。「いいから返して!」と取り上げようとしたじゅんから逃げるように、「やだぁ!」と、ネックレスを握りしめたまま走るらん。その姿は、子どもに戻ったようだった。
「愛情じゃない。ただの同情」
自分の物を何でも奪っていくらんには、もううんざりだ、と怒鳴るじゅんに、「おねえちゃんだって取ろうとしてるじゃん」と、律と寝たのを知ってる事をらんは告げた。それを聞いたじゅんの怒りは頂点に達し、らんのうそのせいで、律と別れるハメになったのだ、と責め立てた。
姉が自分のうそを知ってしまった事に動揺するらんだったが、律は最後には自分を選んだのだ、だから自分の物だ、と言い返した。「そんなのはうその関係。ニセモノだよ!」と譲らないじゅん。自らに言い聞かせるように「違う、違う…」と繰り返すらんに、じゅんは「律はアンタがかわいそうなだけ。愛情じゃない。ただの同情!」と決定打を打ち込んだ。
それは、薄々らんも感じていた事だ。こちらから「私の事、好き?」と聞かないと答えない。それも「うん」だけ。言葉にして、と頼まないと「好き」と口にしない夫。優しいけど、それが愛情なのか、らんはいつも不安だった。そこをじゅんに突かれたらんは、「違うもん!」と、不安を振り払うように言った。そして「だったら結婚までしないでしょ。私たち、もう夫婦なんだよ。パパとママになるんだよ!」と、じゅんに訴えた。
妊娠はウソだった…
「うそ。だよね?」。じゅんは冷静に言った。さっきらんの部屋で妊娠検査薬を見た時、らんが妊娠していない事を知ったのだった。すべてのうそがバレ、返す言葉がなくなったらんに、じゅんは「ネックレスはあげる。私は大切な物を手に入れたから」と、勝利宣言した。
SNSでは「やっぱり!」「妊娠、うそだと思ったんだよね」と、らんの浅はかな作戦を見破っていたコメントが続々とポストされた。また、「妊娠のうそでつなぎ止めようとするなんて、サイテー」と、呆れかえる視聴者も多かったようだ。
全てのうそがバレたらん
いたたまれずに家を飛び出したらんの前に律が立っていた。律にもうそがバレてしまった。「うそじゃなくて、本当に赤ちゃんができると思ったの」と涙ながらに言い訳をして、走り去った妻を律は追う事ができなかった。1人になったらんは、全てが終わってしまったのだ、と悟り号泣するのだった。
らんから律を奪い返した、と思ったじゅんだが、このまま終わるわけがない。次回、「新たな呪いの幕開け」になる様子。SNSで「こんな男、そこまでして取り合う価値ある?」との声が散見されたが、本当に、じゅんもらんも、律のどこがそこまでいいのか冷静になって考えてみてほしい。
※柳俊太郎の柳は正しくは「木へんに夘」
◆文=鳥居美保
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発売日: 2023/04/05