あいみょん、全国ツアーでファンと大合唱「みんながいてくれるっていうのは、酸素がここにあるっていう風に思う」
朝ドラ主題歌「愛の花」をしっとりと歌い上げる
ここからはあいみょんとバンドメンバーの間に紗幕が下りてきて、映像演出とともに楽曲を披露。流れる雲が映し出された“風のささやき”や、ミニマムなアレンジの“ポプリの葉”は弾き語りに近い雰囲気で、シンガーソングライターとしてのあいみょんの真骨頂が伝わってくる。
ネオソウルな曲調がスタイリッシュな“強くなっちゃたんだ、ブルー”の最後で紗幕が上がると、ドラムとパーカッションによるイントロで始まった“ペルソナの記憶”では後方のスクリーンにマーブル模様が映し出され、一転してサイケな雰囲気に。曲の後半ではギターソロの応酬もあって、場内は大きな盛り上がりを見せる。
オーディエンスからのリクエストに応える形でクレヨンしんちゃんのモノマネ(歌バージョン!)を披露するレアなシーンもありつつ、骨太なギターリフと手拍子で盛り上げた“彼氏有無”からのライブ後半はアップテンポな楽曲を続け、ハンドマイクで飛び跳ねながら歌った“マシマロ”と“夢追いベンガル”で場内の温度は一気に急上昇。“夢追いベンガル”では〈この脚振り上げて〉という歌詞に合わせて脚を高々と振り上げるあいみょんの姿も印象的だった。
“マリーゴールド”のサビで一斉にオーディエンスの手が振られると、ここで今年のあいみょんを代表する一曲となった“愛の花”を披露。3拍子のリズムに乗って、丁寧に歌が届けられると、それまで大盛り上がりだったオーディエンスもじっくり聴き入っている。歌い終えたあいみょんに盛大な拍手が贈られると、「私にとってきっと人生一度きりの朝ドラの主題歌が『らんまん』でよかったと思ってますし、ほんまに素敵な半年間でした」と想いを語った。
「毎年ライブツアーができますように」願望語る
「次の曲なんですが、私も3年間我慢してきました。甲子園でもみんなと一緒に歌いたかった。ようやくこういう日が戻ってきたので、みんなの歌声が聴きたいんですが、歌ってくれますか?」と話して始まった“君はロックを聴かない”では大サビの前で大合唱が起こり、その光景を嬉しそうに見つめるあいみょんの姿も含めてとても感動的。曲終わりの「ありがとう!最高!」という言葉は一切の嘘偽りない言葉だろう。ライブが終わりに近づいていることを感じさせる“GOOD NIGHT BABY”に続いて、ハンドマイクで披露された“姿”では、〈いつまでも そう いつまでも〉〈これからも そう これからも〉という歌詞を語りかけるように歌い、あいみょんとオーディエンスの繋がりの強さを感じさせた。
「このツアーはあと一本で終わるけど、今年の私の七夕の願い事は『毎年ライブツアーができますように』と書きましたので、またいろんなところでみんなとお会いできたら嬉しいです」と話し、最後は追加公演初日に初披露され、サプライズで配信が開始された“ノット・オーケー”を、オーディエンスによるタイトルコール始まりで披露。あいみょんらしい歌謡曲感のあるこの新曲でライブを締め括ったということは、今もあいみょんが自分の好きなように曲を作り続けていることの証明だと言っていいだろう。約2時間半に及ぶ濃密なステージを終え、そこにはライブアーティストとしてたくましく成長したあいみょんの姿があった。
文:金子厚武
ワーナーミュージック・ジャパン
発売日: 2023/07/19