昨今、ガンダム関連のニュースが話題を呼んでいる。昨年から放送されたテレビアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が若年層、女性層にも届き、一方で宇宙世紀を舞台とした全世界配信予定作品『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』なども進行中だ。こうした中、「ガンダム」に興味はあるものの、ポチっと配信サイトを調べてみたらテレビシリーズだけで20作以上。そっと閉じてしまった人は少なくないだろう。そんな方にWEBザテレビジョン編集部のガンダム担当がお薦めしたい「ガンダム入門編」ともいうべき作品が、今から21年前に放送されたテレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』をはじめとした「SEEDシリーズ」だ。だが一体どんなところがビギナー向けなのか、その魅力と共に伝えていきたい。
今のアニメファンも観やすい今風「ガンダム」
アニメって絵が大事。だから入門には『SEED』をお勧めしたい。いきなりそんなことを言うとアニメファンから猛烈に怒られそうな気配だが、決して間違いだとは言えないはず。漫画だって絵が上手い方が読みたくなるし、キャラクターがより好きになるものだ。なぜこんなことから切り出していくかというと、40年以上の歴史があるガンダムシリーズには無数のタイトルがあり、絵のタイプも様々だからだ。さらに付け加えると、そのタイトルが放送された時代によってもだ。
「ガンダム」初体験という方に、40年以上前の『機動戦士ガンダム』をお勧めするのはややハードルが高いかもしれない。これは上手い下手、良い悪いとかではなくて、今の人が観るなら、今風の絵で、綺麗な画面(高画質)の方が馴染みやすいということだ。「水星の魔女」を観ていた人は、やっぱり観やすかったでしょ? それで言うなら『SEED』だって21年前のアニメだが、ちょうどこのときキャラクターデザインには「リアリティーよりアニメキャラ寄り」というチャレンジが入り、目が大きく線が細いキャラクターが登場する「SEED シリーズ」はそれまでのガンダムシリーズとは方向性が大きく変わってもいたのだ。
『ガンダムSEED』は“21世紀最初のガンダムシリーズ”
けれど絵だけの話なら、「それこそ『水星の魔女』とかもっと新しいのがあるでしょ」って? そのツッコミへの答えは、「SEED」は“21世紀最初のガンダムシリーズ”だからである。 “ガンダムの生みの親”富野由悠季監督が最初に作った『機動戦士ガンダム』。それ以降のガンダムシリーズは、この『ガンダム』の基本構造を下敷きにして作られている。だからこそのガンダムシリーズだが、タイトルごとに必ず独自性は入ってくる。それがシリーズ内での差別化になるのだが、『SEED』は差別化と同時に、原点回帰でもある『ガンダム』だということが製作コンセプトに掲げられていた。
つまり、『SEED』はガンダムシリーズのフォーマットとして特に分かりやすい作品ということだ。人類を二分する宇宙戦争、勧善懲悪では語れない物語、戦争の中で揺れ動く群像劇、ヒト(人類)の革新といった大枠はもちろん、巻き込まれた民間人が主人公、戦争の中に飛び込んでしまった少年少女たち、木馬(ホワイトベース)に似た新造戦艦など、ストーリー、設定の様々なところに『ガンダム』へのオマージュが見つけられる。
実はこの『SEED』が放送された時期、ガンダムシリーズのアニメは苦戦していたという。長期シリーズに起こりがちな緩やかな風化と、約20年に及ぶコアファンに支えられたゆえの新規層の入りづらさといった要因が重なっていたためだ。そこで『SEED』は既存のガンダムファンのための新作でなく、「『ガンダム』を知らない、これからのガンダムファンを獲得する」ために、「『SEED』を通して『ガンダム』を知ってもらう」ために製作された。だからこそ、『SEED』は『ガンダム』の入門編にぴったりというわけなのだ。
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ガンチャン