ロイド、アーニャ、ヨル……三者三様の大活躍
船内を移動するヨルたちは、第2ラウンジで行われている仮面舞踏会の会場へと到着。そこに紛れていた殺し屋2人を次々と返り討ちにしていくヨル。一方、ショッピングプロムナードでは、骸骨のキーホルダーをねだるアーニャ・フォージャー(CV:種崎敦美)と、それを買ってやるべきかで悩むロイドの姿があった。そんな時、偶然アーニャが感知したのは、すぐ近くを歩いていた殺し屋・バーナビー(CV:こばたけまさふみ)の心の声だった。バーナビーが、向かい側から歩いてくるヨルたちを狙っていることを知ったアーニャは、このバトルをロイドに見られたら家族崩壊の危機だと考え、とっさの機転でロイドを試着室に閉じ込めることに成功する。こうして、バーナビーとヨルのバトルの火蓋が切って落とされる。
終盤の展開は、ヨルの圧倒的な強さとロイドの勘違いっぷり、さらにはアーニャの奮闘と、三者三様の魅力が詰まった盛りだくさんな内容。まず仮面舞踏会でのヨルは、騒ぎが起きないよう、2人の刺客を静かに無力化していく。ボタンを投げて敵を気絶させたかと思えば、ダンスを装いつつ相手の手を粉砕するなど、ふだんはド派手に暴れているイメージが強いだけに、静かなバトルはとても新鮮だ。まだまだ本気を出していない余裕な様子も、これからのさらなる戦いを予感させワクワクさせてくれる。
次はロイドだが、アーニャが欲しがるキーホルダーを買うか買わないかで葛藤する姿が印象的だ。船内に仕込まれている盗聴器の存在に気づき、買わないと偽の親であることがバレて、スパイ容疑で保安局に捕まる…と考えてみたり、アーニャの複雑な表情に動揺したり、アーニャの芝居に心をうたれて楽しく愉快な父親になりきろうとしたりと、久々に気持ちのいい暴走っぷりを見せてくれた。つねに冷静沈着なロイドだが、アーニャやヨルが絡むと途端にコミカルな一面を見せてくれるのは、本作の大きな魅力のひとつだ。
そして最後はアーニャ。「ヨルのバトルをロイドが目撃してしまう」という想像シーンが2回登場するが、そのどちらでもヨルは敵をあっさりと倒しており、アーニャ的にはヨルが負けるとは微塵も思っていないのが可愛い。さらにはその直後、自分が置かれているピンチな状況を悟ったアーニャはなんとも言えない表情を見せ、それがロイドの困惑と勘違いに拍車をかけていく。ロイドの心の声を聞いていたアーニャは、心の中で「ちち、いつもまとはずれ」と呟くのだが、このロイドとアーニャのすれ違いから生まれるコミカルな騒動が今回のハイライトだ。
ヨルと殺し屋たちによるバトルと、ロイドとアーニャの掛け合い。シリアスとコメディが交差する、本作ならではの魅力に満ちた「戦慄の豪華客船」だった。だれにも知られてはいけないアーニャの孤独な戦いは、まだ続きそうだ。また、ヨルに「この方…強い…」とまで言わしめたバーナビーの実力はいかに!? 次回MISSION:32は、11月18日(土)放送予定。期待して待とう!
※種崎敦美の崎は、正しくは「たつさき」
■文/岡本大介
▼ABEMAで「SPY×FAMILY」を見る
https://abema.tv/video/title/19-86
▼Disney+で「SPY×FAMILY」を見る
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/spyfamily
▼Huluで「SPY×FAMILY」を見る
https://www.hulu.jp/spy-family
東宝
発売日: 2023/12/20