英王室を描いたドラマ「ザ・クラウン」のシーズン4でダイアナ妃を演じ、魅力を開花させてスターへの階段を一気に駆け上がったエマ・コリン。11月14日より配信開始した新感覚のミステリードラマ「マーダー・イン・ザ・ワールドエンド」では、Z世代でピンク髪のアマチュア探偵という新しいイメージの役に挑んでいる。演技力だけでなく、役に合わせて印象をガラリと変える風貌、個性的なファッション…唯一無二の存在感を放つエマの魅力に迫る。(以下、一部ネタバレを含みます)
「ザ・クラウン」ダイアナ妃役でブレイク
1995年生まれのエマは2017年に映画デビュー。その後イギリスを拠点に活動していたエマが一躍脚光を浴びたのが、2020年に配信された英米合作のドラマ「ザ・クラウン」シーズン4でのダイアナ妃役でのキャスティングだ。エマは、若き日のダイアナ妃をチャーミングに好演。史実の本人そっくりの愛らしい魅力と、チャールズ皇太子に扮(ふん)したジョシュ・オコナーや、カミラ・パーカー・ボウルズを演じたエメラルド・フェネルと渡り合う演技でダイアナ妃の葛藤を視聴者に印象づけ、2021年には「第78回ゴールデングローブ賞」テレビドラマ部門で主演女優賞を受賞。イギリスから全世界に知名度を広げた。
イギリス王室の歴史をベースに、同じ人物をキャストが時代ごとに演じ分けていく「ザ・クラウン」。エマとジョシュの初々しいカップルに、次第に亀裂が入っていく過程をエマは丁寧に演じ、夫婦の関係が破局を迎えるシーズン5へとバトンをつないだ。(※シーズン5は別キャスト)
エマは2022年には配信オリジナル映画「チャタレイ夫人の恋人」にも主演し、これまで何度も映画化されてきた古典的小説のヒロインに挑戦。貴族の身分だが、使用人のメラーズ(ジャック・オコンネル)と背徳の恋に落ちていくコニー役で新しい印象を見せた。
20世紀前半のクラシカルな衣装が似合い、「ザ・クラウン」でも見せた貴族らしいノーブルな雰囲気をまとったエマが、野性的なメラーズに引かれていく。官能的なラブシーンも披露し、身分違いの恋という古典的なドラマの中でも確かな演技力を見せた。
2023年3月にフランス・パリで開催された「ミュウミュウ」2023-24年秋冬コレクションでは前衛的なファッションでランウエーを歩くなど、173cmの恵まれたスタイルと小顔を武器にモデルとしても活動するエマ。SNSでも度々見せている、いくつもの個性的なファッションを着こなしてしまうセンスで、どんな時代のドラマでも当たり役にしてしまうポテンシャルを持つ。
Z世代の天才的なハッカー役に
そんなエマが、「マーダー・イン・ザ・ワールドエンド」ではまたまた雰囲気をガラリと変え、髪はピンクのショートボブに。演じるアマチュア探偵のダービー・ハートは、科学技術に精通したZ世代のハッカーであり、ネットでの情報収集はお手の物だ。
ダービーはテック業界の億万長者から、アイスランドの雪深い別荘に招待される。するとそこにはダービーの他に世界の富豪やセレブも招待されていて、さらには招待客の一人が苦悶して死にいたるところを目撃してしまう。ダービーは招待客の死の真相を探るために単身で捜査を開始する。雪に閉ざされた別荘での殺人事件という古典的なクローズド・サークルに、AIや気候変動といった最先端のテーマをちりばめた現代的なミステリーだ。
ダービーはハッカー探偵といっても、モニターに向かってばかりの安楽椅子探偵ではない。現場で泥くさく証拠も集めていく。セレブぞろいの登場人物の中での彼女のラフないでたちは浮き気味だが、鋭い目力に真実を明らかにしようとする意志の強さが宿る。ダービーはどう真実に近づいていくのか。エマの俳優としての引き出しがいっそう増す、時代のトレンドを反映した物語に興味は尽きない。
「マーダー・イン・ザ・ワールドエンド」は、ディズニープラスのスターで毎週火曜に新エピソードを独占配信中。
◆文=大宮高史
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/a-murder-at-the-end-of-the-world /
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新潮社
発売日: 1996/11/22