コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、主人公の“魔王”がかわいくて癒されると話題の人気作品「ポンコツ魔王の田舎暮らし」の中で、特に人気の高かった「コミュ障の魔王が田舎に来たら一瞬で馴染んだ話」をピックアップ。
作者の渡邉ポポさんが11月11日にX(旧Twitter)で同作を投稿。そのツイートには合わせて5500以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、渡邉ポポさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。
“魔王”が田舎暮らしを満喫
魔界での戦いに疲れ、田舎へ移住した“魔王”。
そんな“魔王”は田舎を見回り、あることに気が付いた。
「こっちの世界はコミュ障が多い。」
魔界の世界とは違い、田舎にはバトルに挑んでくる猫も、無駄に話しかけてくる木もいない。“魔王”はそんな田舎の様子を見て一安心した。なぜなら、この“魔王”は「コミュ障」だから…。
何か食べ物はないか探していると、みかんが売られているところを見つけた。しかし、コミュ障の“魔王”にとって「みかんください」と言うのはハードルが高すぎる。そのため、仕方なく諦めようとしたが、「無人販売」と書いてあることに気が付いた。
これを見た“魔王”は「このショップの店主はコミュ障なんだ」と解釈。そして、無事にみかんを手に入れることができた。
独特な考え方をする“魔王”に読者からは「魔王がかわいくて癒される」「面白い」「田舎の新しい見方」など、多くのコメントが寄せられている。
「魔王×コミュ障」作者・渡邉ポポさんが語る創作背景
――「ポンコツ魔王の田舎暮らし」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
漫画の中心は主人公のキャラクターなので、とにかく「かわいい」と思ってもらえるようなキャラを作ろうとしたのがきっかけです。近年は「異世界転生」モノが人気ということもあり、なにか「異世界」のキャラでかわいいキャラを作れないかと考え、「魔王×コミュ障」という組み合わせを思いつきました。「最強の魔王なのにコミュ障!?」というシンプルなギャップを生かしたキャラなのですが、わかりやすさもあって担当編集者からも好評で、連載がスタートしました。ストーリーよりもとにかくかわいいキャラクターを作ろう、というのが最初に意識した点です。
――“可愛らしい魔王”が印象的ですが、本作を描くうえでこだわった点があればお教えください。
魔王が田舎やこちらの世界の家電などに触れた時に出る「魔王流の解釈」ですね。例えば無人販売所は「店主がコミュ障なんだ!」とか、水道の蛇口は「(この世界の住人は)外に水を汲みに行く気もない!クソ陰キャだ!」とか。魔界の住人らしい独特の見解や偏見みたいなものを面白く言わせられたらなと思っています。
また、魔王のキャラも「コミュ障・陰キャ」の割にはかなり明るい性格にしています。陽気なくせに陰キャという性格は一見ミスマッチにも見えてしまうかもしれませんが、実際には「明るい性格だけどただコミュニケーションが苦手なだけ」とか逆に「暗い性格っぽくても人と話すのは大好き」とか様々なパターンがあると思うので。
実生活でも「空気を読む」とか「会話を盛り上げる」とか、求められる会話スキルは年々上がっていますし、一方で「一人〇〇」みたいな楽しみ方も多くなってきていて、「どっちなんだ!」って感じていて…笑。
まあ実際は両方あるわけですので、魔王も「陰キャのくせによくしゃべるなあ」といった性格も楽しんでいただけたら嬉しいですね。
――本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
特定のシーンということではないですが、何かに対して「コミュ障だからだ!」と魔王が喜んでいるシーンは好きですね。「こっちの世界の住民はわかってるなー」とか「タヌキもコミュ障だった!」といったセリフもそうですが、魔界では生きづらかった魔王が田舎に来て、生活スタイルに共感するのは楽しいです。もっと魔王を喜ばせたり、だらけさせたりするアイテムを出して魔王の喜ぶ顔をたくさん描きたいですね。
――本作は“田舎暮らし”に関する物語ですが、渡邉ポポさんは田舎と都会どちらで暮らしたいですか?
「当然田舎です!!」と答えたいところですが、実際取材をしていると田舎生活もなかなか苦労が多そうですね。都会の方がやはり便利で生活はしやすいと思います。今住んでいる埼玉県はまさに田舎と都会がほどよく合わさっていて最高ですね。
――今後の展望や目標をお教えください。
この作品の今後としてはやはりより多くの人に読んでいただけるように、面白いものにしていきたいということに尽きますね。
漫画家としては、キャラをもっとうまく描けるようになりたいという思いがあります。
キャラクターづくりは本当に奥が深くて、人によって作り方も違うし「どうしたらいいキャラなのか?」の感覚も曖昧。言語化も難しい…。もしいいキャラを確実に複数作ることができれば、ストーリーなんかなくても面白い、言わば無敵の漫画が作れるわけです。
その精度をより高めていきたいですね。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
魔王を含めたキャラたちをもっと「かわいい」と思ってもらえるような作品にしていけるように頑張りますので、これからも魔王一行の活躍を見守っていただけると嬉しいです。