無我夢中で次に向けて動いた8か月の休止期間
――25周年コンサートでは、つばきファクトリーの曲を、つばきメンバーと歌いました。あのときのお気持ちはどのようなものでしたか?
正直なことを言うと、「初恋サンライズ」も「今夜だけ浮かれたかった」もM-line special(ハロプロOGによるコンサート。ゲストで現役メンバーも出演)で歌っていて、メンバーは限られますが、つばきのメンバーとも共演しているので、懐かしさみたいなものは特にありませんでした。ただ、つばきファクトリーの中に入って歌うというのは3年ぶり。出演が発表されてから皆さん期待をされていたと思うので、どちらかというとその期待に応えようという気持ちの方が大きかったですね。
――つばきファクトリーでの活動を終了し、ソロ活動が発表されるまで8か月の空白期間がありました。どのように自分と向き合い、ソロの道を選んだのでしようか?
歌うこと、踊ることが好きでこの世界に入ってきているので、それを止めるという選択肢はそもそもありませんでした。でも、自分の意思だけでそう動けるわけではないし、将来が見えない不安はやっぱりありました。最初は会社側と色々お話をして、そういう私の気持ちも聞いてもらい、何がきっかけかは分からないですが、こういう曲を歌ってみたら、というお話をいただいて、カバー曲「真夜中のドア」で復帰しました。1年目にカバーアルバムをリリースしていますが、そのレコーディングもこのときの期間にちょこちょこ進めていたんですよね。なので休止期間というより、次に向けて動く、というか、動かなければいけない準備期間に近い時間でした。無我夢中に日々やれることをやって、自分の意識を変える生活を送っていましたね。
――グループ活動から離れて気付いた気持ちはありましたか?
今特に思いますが、グループで活動しているとお互いに頼ってしまう。こういう取材でも私が発言しなくても誰かがやってくれるという気持ちがやっぱりあって、ライブもみんなで作るので、自分のこうしたいという気持ちをあまり出せていなかったと思います。メンバーに頼ることは悪いことではないですが、そこに頼る甘い気持ちは確実にあったので、今振り返えれば反省しないといけないことはたくさんありますね。だからこそではないですが、1人で活動している今は自分でやらなければいけないという意識を強く持って、気後れせず意見はしっかり言うように心掛けています。グループ活動がなければこうした考えを持てなかったかもしれないので、つばきのメンバーとあの時間を共有できたことはとても感謝しています。
自分の軸は歌。これからも音楽を追求して…
――ソロ活動に移り、2年半。振り返ってどんな思いですか?
グループ時代よりも1つ1つのことに向き合う時間を増やさなければならない、というのは強く感じています。今までもダラダラ続けていたわけではないですが、さっきのお話のようにやっぱり自覚が足りなかったと思います。最初は今やるべきことに向き合うだけで精一杯でしたが、だんだん余裕を持てるようになり、最近はその余裕の中で、自分が追求したい音楽のことを考えられるようになってきたと思います。短い時間ではありますけど、良い経験ばかりをさせてもらっていて、すごく成長したんじゃないでしょうか(笑)。
――今は音楽を中心とした活動です。これからの展望で考えていることはありますか?
応援してくださる皆さんのためにも、色んな方に私の名前を覚えてもらえる活動にしていくことが一番で、歌だけでなく、挑戦できるものには全て挑戦していきたいです。舞台みたいな場もあるかもしれないし、メディアへの出演は増やしていきたいですね。ただ、私の中の軸はやっぱり歌です。そこでステージ活動が片手間にならないように、しっかり意識は持ち続けるようにしていきます。
――今年はハロプロ25周年記念オーディションが行われた一方、ハロプロ研修生も頑張っています。ナイスガールトレイニーから頑張ってきた小片さんには、デビューに向ける気持ちはよく分かると思います。彼女たちにかけてあげたい言葉はありますか?
私がいた時代と違って、今、研修生は人数が少ないんですよね。そのせいなのか、スタッフさんから話を聞くと、昔とは違ってフレンドリーだって。昔は誰が先にデビューするかっていう、バチバチのライバル心みたいなのがすごくあったんですよね。今の温かい空気感は大事ではありますけど、負けたくないという気持ちを持って切磋琢磨できたら、もっとスキルアップできるんじゃないのかなと思います。それと、ライブ出演や発表会のときの強い気持ち。パフォーマンスだけでなく、絶対デビューするんだという気持ちは先生たちに間違いなく伝わるので、挫けずに毎回のステージを頑張ってほしいですね。
取材・文・撮影:鈴木康道