どの作品でも“自分が主演”という気持ちで臨んでいる
――今年は初主演の「君は放課後インソムニア」が公開されました。撮影中の出来事で、印象的なエピソードがあったら教えてください。
たくさんありますが、ひとつ挙げるとすれば撮影場所の七尾市が印象に残っていますね。作品の原作となるマンガを読んでから七尾市に行ったのですが、マンガで描かれていた現地の良さや美しさには、一切の誇張がなかったんだなと感じました。
また映画を撮るにあたって普通だったら撮影許可が大変なところ、七尾市全体が協力していただいたのも嬉しかったです。さまざまなご協力をいただいたことで、作品のクオリティが上がったんだと思います。
キャストのみなさんや撮影の思い出もたくさんありますけど、今回の一番の思い出は七尾市に行けたことが大きいですね。この映画を通して 原作と七尾市の良さが伝わってほしいなと思っています。
――主演をするうえで意識したことはありますか。
そうか…実は初主演なのか(笑)。主演をやらせていただくことになっても、良い意味であんまり意気込むことはありませんでした。どの作品でも“自分が主演”という気持ちでいるので、そういう意味でいうとあんまり変わらなかったですね。スイッチ入れて、気合入れてというのは特になかったかも。
あとはW主演の森七菜さんがいたので、リラックスしながらやれたのが大きいかもしれません。森さんは先輩だけど、友達でもあるような存在。森さんが隣にいるのは僕的には安心感が大きかったです。
――主演を経験して成長を感じたところはありましたか。
森さんと共演で来たという意味で、得るものは多かったと思います。同世代の中でも森さんは同じ年にアカデミー賞の新人賞を頂いていて、もちろん存じ上げていました。
「君は放課後インソムニア」では森さんのお芝居のタイプは何かを投げかける側、僕は受け止める側としてやっていましたけど、森さんはゼロから1を作る力が凄く長けているなと思います。そこは凄く勉強になりました。身近で見られてよかったというのはありますね。
「役は現場で作り上げる」奥平大兼のスタイル
――役作りの秘訣について伺えたらと思います。
僕は事前に役作りをして、ガチガチに決めた状態で撮影に臨むことはあまりありません。台本を読んだ感じとかを踏まえて、自分の中で漠然と決めたことだけを現場に持って行きます。
家で台本を読んで考えたお芝居と、現場でできるお芝居ってかなり差があるので。監督と話し合ったり、現場で相手役のお芝居を受けてから演技のイメージを深めることが多いです。
――現場で一気に役へ入り込むというと、相当の集中力が必要になりそうな印象です。集中力は昔からある方でしょうか。
そうなんですかね(笑)。現場では集中していますけど、途中途中でリラックスしている時間も割とあると思いますよ。
――演技では監督の指示によって役を作るタイプ、監督の指示に自身の意見も入れるタイプで分けるとどちらでしょうか。
後者の、自分の意見を提案するタイプですね。役者側のやりたい気持ちと監督の考えを合わせると、みんなで一緒に作っている感がある、いい映画になると思っています。
とはいえ、監督のなかには100%のイメージを持って撮影に臨まれる方もいらっしゃいます。そういうときは自分の提案は出すには出しますが、監督を信じないのも僕は嫌なので、最終的には監督の指示を信じます。ケースバイケースですが、基本は監督と自分の考えとやりたいことを話し合って決めるスタイルです。
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