賢二「ごめん、シロさん、ほんとに、ほんとにごめんなさい」
「そうだよね、そうだ、そうだ。田淵くんの言う通り、食べて元気出そう」と賢二は言い訳とも鼓舞ともわからない独り言を言う。そこに注文していた大盛りラーメンが運ばれ、「わあ、おいしそう!久しぶりー!」と言っていただきますをする賢二。喜び勇んで大口を開けてひとくち目をいざ食べようとした時、店に入って来たのはなんと、史朗だった。
史朗も驚くが、それ以上に賢二が驚いていると、店員が「あ、筧先生ですか?」と声をかける。史朗は仕事でラーメン店にやってきたのだった。史朗は店員に挨拶すると、賢二にツカツカと歩み寄り、「早く食え、のびるぞ」と言い残して、店を出る。口もとは笑っているが、その目は笑っていない。
その晩、食卓で賢二は縮こまって「ごめん、シロさん、ほんとに、ほんとにごめんなさい」と謝る。史朗は謝らなくていいと言うが「でも、シロさん、毎日気を使ってご飯作ってくれてるのに、俺、ラーメンて…」という賢二。「だからいいって。昼ぐらい好きなもん食えよ」と史朗が言うと、賢二はますますしょんぼりする。
それを見て史朗は「いや、いらついてるように見えたら悪い。違うんだよ、お前に店長やれっていったの俺だし、がんばれって言ってるのも俺なのにさ、ちょっとつまんねーなとか思ってる自分に腹立ってるんだよ」と言い、史朗の言葉に賢二は感動するのだった。
ラーメン店で史朗に出会い、まるで悪さしようとしているのを見つけられた子どものようにちっちゃくなってしょんぼりとする賢二がかわいそうでかわいくて笑ってしまう。そして、史朗も賢二と一緒に過ごせずに不満を持っていることを正直に話し、愛が感じられてほっこりとさせられた。
SNSでも「罪悪感に押しつぶされるケンジ。かわいい」「なんでラーメン食べて謝るんだ(笑)」「シロさん目が笑ってなかったw」「本当は寂しくて仕方ないシロさんめっちゃケンジの事好きなんだよねぇ」と話題になった。
◆構成・文=牧島史佳

































