「インディ・ジョーンズ」シリーズ最新作「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」が、12月1日に配信された。同作は考古学者にして冒険家の主人公インディ・ジョーンズが秘宝を求めて世界中を飛び回りながら、さまざまな危険や謎に立ち向かい冒険を繰り広げていく、不朽のアドベンチャー・シリーズ最新作。「インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》」(1981年)でハリソン・フォード演じるインディが登場して以降爆発的人気作となり、その後同シリーズ3作が製作されると、新作が公開されるたびに世界を熱狂の渦に巻き込んできた。そんな人気シリーズの最新作が配信されたということで、幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が本作を視聴し、独自の視点で見どころを紹介する。(以下、ネタバレを含みます)
「インディに再び会えた!」の声
6月から日米同時劇場公開されるや「インディに再び会えた!」「相変わらず超人だし、相変わらず渋くてかっこいい!」「待っていた甲斐があった」という古参ファンの声も、「初めて見たけど面白い!主人公が超人だし、渋くてかっこいい!」「見ているうちに時間があっという間に過ぎた!!」「遡って全部見てみたい」という新規ファンの声も、同じくらいのエナジーで聞こえてきた。まさに老若男女をとりこにする作品である。
今作は2008年に公開された通算第4弾「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」以来の新作。第3弾から第4弾までの間には19年の歳月が流れているから、それに比べれば短いとはいえ、15年といえば、小学校に入学した人が(浪人をしなかったとして)大学3年になるまでの長い歳月だ。その間、誰だって15歳、年を取っている。それはインディ役のフォードにとっても例外ではなく、一部には「007シリーズ」のジェームズ・ボンド役のように、今度は次世代俳優がインディ役にキャスティングされるのでは?という憶測も飛び交ったとも聞くが、とにもかくにもフォードは続投し、この新作でも鮮やかな超人ぶりを見せてくれるのがうれしい。
監督は今回からジェームズ・マンゴールドが担当。過去の名作群で采配を振るったスティーブン・スピルバーグはジョージ・ルーカスと共に製作総指揮のポジションに就いている。私は2019年公開の「フォードvsフェラーリ」を見て、ライバル同士の火花散る熱気に酩酊したものだが、その監督こそジェームズ・マンゴールドであったことを思い出す。音楽は今年で91歳を迎えた名匠ジョン・ウィリアムズが担当。ラロ・シフリン(「燃えよドラゴン」)と共に、映画音楽界で最も成功を収めたジャズ出身者かもしれない。あの勇ましいテーマ・メロディーが随所に挿入されるのはもちろん、さまざまな場面で見る者のエモーションを加速させるように鳴る音楽群にもぜひ、耳を凝らしてほしい。
スリルとエンターテインメント性たっぷりに物語が進行
考古学教授で冒険家という、まさしく文武両道なインディの思考回路と動きはますます冴えていて、時代や場所を次々と移りながら、スリルとエンターテインメント性たっぷりに物語が進行していくのだが、私には“1944年”と“1969年”が作品の日時の背骨に位置するように感じられた。
1944年は、第二次世界大戦終了の前年。インディは友人の考古学者バジル(トビー・ジョーンズ)と組んでナチスが略奪した秘宝「ロンギヌスの槍」を奪い返そうと動き、また、その作業の中でナチスの科学者・フォラー(マッツ・ミケルセン)が見つけたという秘宝「アンティキティラのダイヤル」を手に入れるのだが、それが1944年という設定だ。ナチス的にはノルマンディー上陸作戦(6月)、パリ解放(8月)があった年としても記憶されよう。
そこからちょうど25年後となる1969年、ひょんなことからインディは「アンティキティラのダイヤル」と再び向かい合うことになる。フォラーも元ナチスという過去を消し、名前を変えて社会生活を続けており、ロケット開発に従事しつつ(←ここがとても重要)、どうにかそれをインディから取り戻そうとナチスの残党と暗躍を続けていた。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/indiana-jones-and-the-dial-of-destiny
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