井上和「この曲で会場ひとつになりましょう!」
感動的な歌とメッセージの余韻に浸っていると、ライブも終盤戦に突入する。池田がセンターを務める「心にもないこと」に続いては、この『新参者』で初めて11人揃ってのパフォーマンスが実現した「考えないようにする」で客席はセンチメンタルながらもピースフルな空気に包まれていく。そこからクールなダンストラックを挟むことで、場の雰囲気も徐々に変化すると、井上&一ノ瀬のダブルセンターによる「インフルエンサー」、中西が中央に立つ「Actually…」で会場をドラマチックに彩る。さらに、川崎センターの「17分間」では可愛らしさをアピールしたかと思えば、「バンドエイド剥がすような別れ方」ではセンター菅原の煽りに応えるように観客のボルテージも最高潮に到達。そして、井上の「この曲で会場ひとつになりましょう!」を合図に始まった「おひとりさま天国」でクライマックスを迎え、ライブ本編は終了した。
菅原「おばあちゃんになっても一緒にいたい!」
ライブ本編の熱気を引き継ぐように「乃木坂46」コールが続く中、アンコールは「ロマンスのスタート」からスタート。観客のボルテージが再加熱すると、「Sing Out!」ではクラップとで会場の一体感は最高潮に達し、その温かな空気の中「人は夢を二度見る」では奥田&岡本が見事にダブルセンターを務め上げた。
最後のMCでは全10公演を振り返り、小川が「『新参者』、終わりたくない!始まる前とか始まったときは、こんな短期間で10公演って大変だろうなと思っていたんですけど、ここまですごく楽しめているのはファンの皆さんのおかげです。『新参者』を通して、ライブって皆さんと一緒に作っているんだなと感じられたし、五期生11人揃って最終日のアンコールまで来られて本当に嬉しいし。同期の大切さを改めて感じられた期間でした」と感慨深げに語る。また、菅原は「この10公演で『Sing Out!』を5回披露したんですけど、今日が今までで一番緊張したかも。自分がやりたかったこと、今までやってきたものが出せたかどうかわからないけど、楽しかったからOKかな(笑)」と笑みを浮かべつつ、「私、泣かないようにしていたのに、一番泣いているかもしれない。リハーサル期間を含めて、五期っていいなって改めて思った。おばあちゃんになっても一緒にいたい!」と口にすると、隣にいた冨里が「じゃあ、一緒に住もうか!(笑)」と相槌を打つ一幕も。そして、井上の「最後の最後に、私たちと一緒に歌って踊って、最高の時間を過ごしていきましょう!」を合図にラストナンバー「乃木坂の詩」で最終公演を締め括った。
乃木坂46・櫻坂46・日向坂46、全30公演完走
しかし、メンバーがステージを去っても客席からの「乃木坂46」コールは止むことがなく、さらに大きくなっていく。この思いに応えるように、ステージに再度姿を現した11人は「最後にみんなで盛り上がって楽しく終わりたいねと思って、五期生で1曲選ばせてもらいました」と告げて、四期生の期別楽曲「I see…」をサプライズで披露。声が枯れんばかりの歌声と満面の笑みとともに、乃木坂46五期生として全10公演、3グループ合計30公演にわたる「新参者 Live at THEATER MILANO-Za」を完遂した。
アンコール終了時、井上は「私たち五期生は『未完成は美しい』というフレーズのもと、この11人が集まりました。未完成は美しい、でも、未完成が進んでいくともっと美しいんだ!とこの11人と過ごして、この『新参者』の期間でより強く感じました。そして、それは同期からだけではく、櫻坂46三期生さん、日向坂46四期生さんからも感じました。これからもみんなで手を取り合って、坂を登っていきます!」と力強く語ったが、ここから各グループの“新参者”たちが切磋琢磨し合い、いずれグループを引っ張っていく存在になる日が楽しみになる30公演だったのではないだろうか。乃木坂46、櫻坂46、日向坂46の未来がさらに輝かしいものになることを願っている。
◆文/西廣智一
ソニー・ミュージックレーベルズ
発売日: 2023/10/25