趣里がヒロインを務める連続テレビ小説「ブギウギ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)。12月5日放送の第47回では、突然の知らせに動転するスズ子(趣里)を抱きしめる小夜(富田望生)の姿が印象的に描かれた。小夜が口にする福島ことばが、彼女のあたたかいキャラクターを印象づけている。(以下、ネタバレがあります)
「なんでも、言ってくんちぇえ」
「ブギウギ」は、「東京ブギウギ」などの名曲で知られる戦後の大スター・笠置シヅ子をモデルにしたオリジナル作品。戦後の人々に生きる活力を与えた歌手・福来スズ子の波瀾万丈の人生の物語だ。第10週「大空の弟」では、スズ子の弟・六郎(黒崎煌代)の戦死の知らせが届く展開が描かれている。
突然の知らせに混乱し、ショックのスズ子。「じっとしてたら気がおかしなりそうや」と事務所に顔を出し、平静を装うとするが、歌もうまく歌えず、ステップも踏めない。「なんで動かへんねん!」。苛立ちが次第に悲しみの感情を引き出し、気づけばスズ子は自分の体を叩きながら泣き喚いていた。
「気ぃ抜くと六郎のことが頭に浮かんでくんねん」というスズ子。小夜はそんなスズ子に寄り添い、体をしっかりと支えながら「オレが、そばにいるから。なんでも、言ってくんちぇえ」と言い聞かせた。
小夜役・富田望生も福島出身
最愛の弟の死の知らせ、それも紙切れ一枚。にわかには受け止められない事態にスズ子が感情をコントロールできずにいる中、どっしりと包み込む小夜の存在が頼もしい。演じる富田の安定感ある演技力と存在感に加え、福島出身の小夜が使う方言の、おもいやりがにじむあたたかい響きが印象的だ。富田自身も、福島出身だという。
NHK出版
発売日: 2023/09/25