家茂と和宮のほっこりするやりとり
上洛した家茂が、帝に開国の意図を伝え説得する際、助言をしたのは勝だけではなかった。和宮も家茂に男のなりでいけという助言をしていたのだ。
そのおかげで、説得がうまくいったという家茂に、和宮はどこかうれしそうな様子。続けて、和宮が“おめしもん”にはどこか不思議な力があると告げると、家茂はあることを思い付く。
それは、和宮は江戸風の、家茂は京風の着物を着るということだった。どうして江戸風の装いなのかと不思議そうにしていた和宮だが、にこにこと話を続ける家茂の思考が読めたのか、“とりかえばや”をして甘いものをたくさん食べるのかと問う。
すると、家茂はうれしそうに楽しそうではないですかとさらににこにこと笑った。その仲むつまじい家茂と和宮のやりとりにほっこりし、必ず実現してほしいと願わずにはいられなかった。
すでに誰よりも夫婦だった家茂と和宮
自分との未来を話してくれる家茂に和宮は複雑そうな表情を浮かべる。家茂との生活は幸せにあふれていたが、母親のためにも、家茂のためにも、自分が京に帰り、本物の和宮に江戸に来てもらうことがいいのではないかと提案する。
自分で提案をしていながら、どんどん表情の曇る和宮の前に、家茂は手紙を差し出す。それは、帝が直筆で書いた手紙であり、江戸に居る和宮は帝の妹宮であるという内容が書かれていた。
家茂は、和宮と一緒に居たい一心で手紙をもらってきたのに、自分の気持ちは和宮には伝わらないのかと訴え、涙を浮かべる。そんな家茂の気持ちは痛いほど和宮に伝わっていた。だからこそ、家茂のために自分ができることは、京へ帰ることだと話をしたのだろう。
女性であるが故に、家茂に子どもを産ませてあげることもできず、本物の夫婦にはなれない、自分が本物の和宮であればよかったのにと何度考えを巡らせたことだろう。
そんな和宮の思いも全部受け止め、なんとかすると力強く告げる家茂。家茂の固い決意を聞き、後悔しないのかと告げ、家茂を信じた和宮。そこには誰がなんと言おうと、互いを慕う夫婦が存在していた。
互いを思い合う2人に涙
このまま幸せの時が続くと思ったが、そうはいかないのが大奥なのだ。再度、上洛することが決まった家茂は、病に倒れ、宮様に会いたい、大奥に帰りたいと言葉を残し、大阪城で最期を迎えてしまった。
いなかないでほしい、ここに居てほしいと必死に止めていた和宮は、家茂の最後の言葉と様子を能登(中村アン)から聞き、静かに涙を流す。家茂が求めた着物に包まれながら、家茂の死を嘆き悲しむ姿に涙が止まらなかった。
互いを思い泣く家茂と和宮。2人の突然すぎる別れに、Xでは、「しんどい」「幸せな時が一瞬すぎる」「ティッシュが追いつかん」という声があふれた。その一方で、和宮を演じる岸井の演技を絶賛する声が多く上がり、「#岸井ゆきの」がトレンド入りを果たした。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
NHKエンタープライズ
発売日: 2023/08/18