平成の大ヒット作『機動戦士ガンダムSEED』が完全新作の劇場作品『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』として2024年1月26日(金)より全国の劇場にて上映を開始する。昨年の11月19日にはイベント「機動戦士ガンダムSEED FESTIVAL ~CONNECT あの時代(とき)を超えて~」が実施され、保志総一朗はじめ出演者が勢ぞろい、西川貴教・玉置成実のライブも披露され、ファンは約20年ぶりの劇場版への期待に大いに盛り上がったのも記憶に新しい。「SEEDシリーズ」が巻き起こした当時の熱狂は大きなものだったが、ヒットの要因の1つには、目まぐるしく変化していく「恋愛劇」にあったと思う。作中で恋模様は様々に動いていく。今回は前回の「キラ・ヤマト、アスラン・ザラ編」に続き、『SEED』で脇を固めたマリュー・ラミアス(CV.三石琴乃)とムウ・ラ・フラガ (CV.子安武人)の大人カップル。ミリアリア・ハウ(CV.豊口めぐみ)と、彼女に殺されかけた経験を持つディアッカ・エルスマン(CV.笹沼晃)のカップリングを紹介したい。
「こんな風に口説かれたい!」大人の恋の手本!
マリューとムウは共に20代後半という大人なカップル。マリューは地球連合軍アークエンジェルの艦長で、軍人としては情に流されがちなところはあるものの、キラたちにとっては信頼できる良き艦長である。一方、ムウは地球連合軍のエースパイロット。ふだんは気さくでノリも軽いが、いざというときには頼りになる兄貴分的な存在だ。ムウは元々乗っていた母艦が撃墜されてしまい、成り行きからアークエンジェルに乗艦し、そこでマリューと出会う。
キラ、アスランの恋愛は彼らが奥手すぎるために女性側からのアクションが不可欠だったが、ムウの場合は彼からアプローチを仕掛けることがほとんどだ。もっとも「仕掛ける」とは言ったものの、それはストレートな求愛という形ではない。艦長の重責に悩むマリューの良き相談相手になるということで距離が自然とつまっていくという流れだ。生真面目で責任感の強いマリューの性格を考えると、「好きだ」と正攻法で攻めたとしても、「それどころじゃないわ」と断られるのがオチだったかもしれない。そのことを察しての戦法だったとすれば、ムウは恋愛においてもまさにエース級の腕前の持ち主ではないか。
実際その戦法は(意図したかはさておき)功を奏し、最初こそ仕事モードを崩さなかったマリューだが、次第にムウに対して柔和な表情を見せるようになっていく。落ち込む彼女の肩を軽く叩いただけで「セクハラです」とたしなめられていたムウだが、地道なアプローチは最終決戦を前にようやく実を結ぶ。転属指令を受けたにも関わらず戻ってきたムウに対し、なぜ戻ってきたのかと聞くマリュー。ムウは「今さら聞かれるとは思わなかったぜ」と答えると、彼女を抱き寄せてなかば強引にキスするのだった。
PHASE-03で出会った2人がこうして気持ちを確認しあったのがPHASE-38ということを考えると、ムウがいかに我慢強いかが分かる。それだけに、ようやく結ばれたこの瞬間は視聴者にとってもめっちゃエモいのだ。やはりというか、さすがというか、大人の男は焦らない。しかしその後、ムウはアークエンジェルを守るため、自らの機体を盾として宇宙に消えてしまう。艦長としての責務を忘れ、人目もはばからずに泣き叫ぶマリューの姿がとても印象的だ。と、ここまでが『SEED』での出来事で、続く『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』ではさらに驚きの展開が待っている。こちらについては伏せておきたいので、気になった方はぜひ本編をご覧いただきたい。
マリューとムウの関係は、キラとフレイのようなヒリヒリ感や、アスランとカガリのような気持ちのぶつけ合いはないものの、「こんな風に口説かれてみたい」と思えるもの。「SEEDシリーズ」屈指の大人な雰囲気と、リアルな恋愛劇が味わえることは間違いないだろう。
「殺したいほど憎いアイツ」からの大逆転劇!?
一方、ミリアリアとディアッカはムウとマリューに比べると本編での描写はあまりないものの、ファンから密かな人気を誇っている。作中もっとも最悪な関係からスタートしていて、いわゆる「憎いはずのアイツ」が気付いたら…という展開だ。
そもそもミリアリアは地球連合軍、ディアッカはザフトという敵同士。ただ、それだけであればアスランとカガリの出会いもそれに近いのだが、決定的に違うのは、ミリアリアにとってのディアッカは、恋人トール・ケーニヒの仇であるという点だ。ミリアリアには物語開始時点ですでにトールという彼氏がいた。そしてトールは、ディアッカたちとの交戦で戦死してしまう。厳密にはディアッカが直接トールを殺めたわけではないものの、ミリアリアにとっては敵対しているザフトに所属するディアッカが殺したにも等しかった。捕虜として拘束されたディアッカに対し、憎悪をむき出しにしてナイフを手に襲いかかるミリアリア。周囲の制止もあって無事で済んだディアッカだったが、この事件は彼の心境を大きく変化させた。これまで自分が殺した敵のことなどあまり考えてこなかったディアッカだが、相手にも大切な人がいるということを身をもって感じたのだ。
これ以降、好戦的だったディアッカは少しずつ変わっていく。その後釈放されたディアッカはミリアリアとの会話を思い出し、ザフトには戻らずアークエンジェルを守る行動に出る。一方のミリアリアも最初こそ仇と憎んでいたが、ディアッカの変化や本質に触れるうち、徐々に態度を軟化させていく。最終決戦前にはディアッカに「気をつけて」と言葉をかけ、ディアッカは「サンキュ」と返す。
恋人を奪われた悲しみや憎しみを乗り越えて、ディアッカと新たな関係性を築いたミリアリア。これだけでは恋愛関係にあるとまでは言えないが、『SEED DESTINY』では2人が交際していたとおぼしきセリフが確認できる。成長したディアッカほどいい男はそうそういないし、憎しみを乗り越えたミリアリアもまた尊いだけに、ファンとしては今後の関係に期待をしたいところだ。「最悪から始まる恋」は王道だが、やはり最高だと確信するエピソードである。
まだまだいる、「SEEDシリーズ」は恋愛の宝庫
今回は『SEED』を中心に紹介したが、『SEED DESTINY』でも主人公シン・アスカ(CV.鈴村健一)とステラ・ルーシェ(CV.桑島法子)の悲恋や、終盤に入って急激にシンとの距離を縮めていったルナマリア・ホーク(CV.坂本真綾)など、多くの恋愛劇が繰り広げられる。「ガンダムシリーズ」の中でもとりわけ多くのカップルが誕生した作品であるのは間違いなく、それぞれに根強いファンが付いたことで大いに盛り上がったのは記憶に強い。最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』ではどんな恋愛劇が描かれるのか、こちらも気になるところだ。
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