黒閃で東堂のキモさが爆発
「呪術廻戦」第2期のバトルシーンは、そのときクローズアップされるキャラクターによって作画と演出に変化が現れるのが特徴になっている。宿儺と漏瑚の一戦は荒ぶるタッチで大スケールの地上戦が表現され、脹相と虎杖の一戦は電光板など渋谷駅構内のオブジェを効果素材として利用し、リアルスティックな描写を作り出していた。そして東堂が参戦した今回は、随所に漫画チックなカットが飛び込んでくるのがポイントだった。何でもありの真人と、脳内妄想が激しいキモ格好いい東堂のせいなのか、違う世界線のバトルのよう。その面白さの中、極めつけは東堂の黒閃シーンだった。
唐突にギャラクシーゾーンに突入し、きらめきを帯びながら加速していく東堂。何だかむさ苦しいことを言いながら黒閃を繰り出すのだが、この「たんたかた~ん」の一瞬には理解不可能な情報が大量に詰め込まれていた。スロー再生で見ていくと、(おそらく東堂が勝手に妄想している存在しない記憶である)京都校の仲間と虎杖との青春、友情シーンと、東堂がゾッコンの高身長アイドル・高田ちゃんとの回想がめくるめく日々のように差し込まれており、最後にはトラウマになりそうな東堂のひどいキス顔が画面奥から迫ってくる。
これには視聴者も騒然として、「突如視聴者の脳内に溢れ出したのは東堂葵の青い春と存在しない記憶」「東堂の黒閃頭おかしくて笑った」「大好きな東堂がちゃんと気持ち悪くて良かった」といったコメントがXに続々とあがる。中にはこのシーンに「僕のヒーローアカデミア」を連想した人も多くおり、「東堂がクソキモいオールマイトw」「ワンフォーオールを受け継いでオールマイト化した東堂、一生おもろい」など、ネタ(?)に喜ぶファンも続出していた。
ちなみにこの黒閃のときの演出は、原作には全くないアニメオリジナル。遊び心がありつつ、東堂というおかしなキャラクターをこれ以上ないくらいに表現してくれたと言っていいだろう。原作勢は気付いたと思うが、胸のペンダントが妙にクローズアップされているのにも実は意味がある。また、最後に迫るキス顔は原作15巻の扉絵に描かれているものであり、興味がある人は元絵のキモさも見てみるといいだろう。
※島崎信長の崎は正しくは「たつさき」
■文/鈴木康道
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東宝
発売日: 2023/11/22