コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、武村沙紀さんの漫画「インドで最も美しかったものの話」だ。
作者である武村さんが11月17日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、2.8万件を超える「いいね」が寄せられ、Twitter上では「心が洗われる」「美しい話…」「うるっときた」「お金以上の価値とはこのこと」「素敵すぎて泣ける」「忘れずにいたい話」などの反響の声が多数寄せられている。この記事では武村さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
【漫画】「インドで最も美しかったものの話」あらすじ
過去にインドに行った際、詐欺師に8万円をだまし取られたこともあり、インド滞在3週目でようやく観光をする気に。宿の人にリキシャーを紹介してもらい、値段を聞くと「いくらでも君次第」との返答が。
早速運転してくれる人の元に行くと、まさかのバイクではなく自転車。彼は一言もしゃべらないものの、この日から3日間黙って自転車をこぎ続け様々な観光地へと送迎をしてくれた。
そしてお別れの日、彼女は帰国に必要なお金以外の全財産を彼に渡して…。
武村沙紀さんインタビュー
――「インドで最も美しかったものの話」を描こうと思ったきっかけや理由があればお聞かせください。
昔インドに行った時の体験が良いも悪いも強烈で、これまでにも幾つかのエピソードを文章や漫画で描いてきました。インドの旅は、基本奮闘しながら人の優しさを見るような、泥の中でキラリと光るものを見るような旅でした。
「インドで最も美しかった意外なもの」もその1つで、ずっと描きたかったので今回描けてとてもスッキリ満足していました。更にこんなに反響を頂けて感無量です。
――「うるっときた」「素敵すぎて泣ける」と話題の本作ですが、こだわった点などがあればお聞かせください。
たくさんの温かいコメントをいただけたことが大変ありがたいです。こだわった点は、他のエッセイでもそうなのですが嘘を描かないことです。そのままを描くようにしました。自分や物事を美化しないこと、嘘のない素直な気持ちを描くようにしました。
作品・話を利用して自意識やエゴを満たそうとしていないか、不純なものが混じっていないか、これは本当か! 本当を描いているか!? ホントのお前か!? と問うようにしています。その上でリキシャーの彼を描きました。描けたと思っています。
――本作の中で、特に思い入れのあるシーンやセリフがあればお聞かせください。
お金を渡したあとに振り返って見たリキシャーの彼の姿は、駅の喧騒の中だったのに音が消えたようでした。その静けさよ画面に出ろ〜と念じながら描きました。
――普段作品のネタ(ストーリー)はどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
エッセイ漫画はリアル生活の中で印象に残っているものを描いています。カナダ生活で日本とカナダの違いでびっくりしたり笑ったりしてところ変わればルールも変わる、こんなこと有りなんだ、こんな人がいてこんな世界があるんだ! という事が起こると描きたくなります。
「なぜ自分はこう思ったんだろう?」「なぜ自分はああしたんだろう?」と精神、心のことを考えるのが好きなので、それらを紐解くような話も時々描きます。
――武村さんの今後の展望や目標をお聞かせください。
幾つか描き始めているのですが、夫ヒロの半生がちょっと面白いので是非に公開できるよう描きあげたいです。あとは過去の自分の精神的な話、インドでのこぼれ話みたいなのもまだあるのでそれも描きたいです。
ありがたいことに電子本を出すことができたので、次は物理的な書籍化をしていきたいです。ちらほら書籍化して欲しいと仰ってくださる方がいるのに、お待たせしていて申し訳ないです。がんばります。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも漫画を読んでくださってありがとうございます。ご感想やコメントに反応しきれていませんが、全て読んで時々うれしくて踊っています。毎回、描く前と描いてる最中はおもしろい〜と思っているのに描きあがると、コレおもしろいんか? そんなおもしろくないんちゃうか? ボツにしとくか? と思ってしまいます。
でも、読んでくださる方がいる…ひとまず読んでもらおう! と公開しています。みなさんのおかげで描いた漫画をボツにしなくて済んできて、読んでもらえて、描いてよかったーと思えて、また描いて、ここまでこれました。ペースは遅いですが、くだらないものも魂こめて描いていきますので、これからも応援よろしくお願いします。