コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は書籍「毎日全力、たまーにズボラなすや子さんち」の作者・すやすや子さんの漫画「療育!」を紹介する。
作者であるすやすや子さんが10月24日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、9,200件を超える「いいね」が寄せられた。本記事ではすやすや子さんに、作品のこだわりなどについてインタビューをおこなった。
息子・すや太くんが受けた発達検査で…
作者であるすやすや子さんの息子・すや太くんは1歳8か月の頃に市の”発達相談支援センター”で発達検査を受けたという。結果、すや太くんの発達年齢が1歳3か月で、少し遅れていたことが分かった。すやすや子さんは産後うつを患っていた時期があったため、自分のせいですや太くんの発達が遅れてしまったのではないかと心配していたという。すると職員さんから”療育”に通うこともできると提案される。そして、すやすや子さんは療育に通うことを決めたのだった。
療育では自由あそびや設定あそびなどがおこなわれた。最初は「ただずっと遊んでいただけのような…」「これで良いのか…?」と不安な気持ちがよぎったという。しかし療育に通うにつれ、すや太くんとすやすや子さんの自己肯定感が上がったことを実感した。さらにすや太くんの得意・不得意なことが分かったり、笑顔が増えたりして先生方の存在が本当に心強かったという。すや子さんは「個人差があるため絶対に療育に通った方がいいとは言えないけれど、私は療育に通って良かったなと思う」と語っている。
この投稿には「同じ気持ちで泣きました」「療育施設で働いている主人に見せます」「良い出会いがあって良かったです」「とても勇気付けられ参考になりました」「共感する部分があって涙が出ました」などのコメントが寄せられている。
「今頑張り過ぎているお父さんやお母さんにも届くといいな」作者・すやすや子さんが療育を漫画にしたきっかけが温かい
――「療育!」を漫画にしたきっかけや理由があればお教えください。
フォロワー様から「我が子も発達がゆっくりで療育を勧められたが、療育がどんなところかがわからない」、「周りの目が気になって通うのを躊躇っている」などのDMをいただき、参考になるといいなと思い描きました。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
こだわった点は「絶対に療育に通った方がいい!療育に通いさえすれば絶対に成長する!」と決めつけるような描き方にならないよう気をつけました。
見て欲しいポイント1つめは「漫画に出てくる息を吐くように可愛いと言ってくれるM先生」のシーンです。産後、疲れや不安感から息子を可愛いと思う気持ちが隠れてしまうことがあったのですが、先生達の「可愛い」の言葉のシャワーのおかげで、そうだ!私は今可愛い子を育てているんだ!と改めて思うことができたからです。
2つめは「卒園する時にいただいた、先生達から親へのメッセージカード『そしてどうぞママとパパご自身のことも大切にしてくださいね』」です。療育に通っていた時、先生達は親(私たち)に「頑張り過ぎないでね、なにかあったらいつでも相談してね、大丈夫よ」と声をかけてくれていてその言葉で気持ちが楽になったので、今頑張り過ぎているお父さんやお母さんにも届くといいなと思いこのシーンを描きました。
――本作では、同じように悩む方からのコメントが多く寄せられていました。最初に発達支援センターに行くきっかけは何だったのでしょうか?
産後の不安感がとても強かった時に、発達障がいは母親が妊娠中に〇〇したせい、や親の接し方のせい、〇〇で育てなかったせいなど今となってはそんなまさかと思うようなネット記事を目にして信じてしまい、発達が遅れているのは私のせいかもしれないと怖くてたまらなくなり、もし療育を受ける必要があるのなら療育を受けさせてほしいと相談したのがきっかけです。息子は実際に発達がゆっくりだったので、療育が必要と判断され、通うことができました。
――実際に”療育に通って良かった”と感じられたことはどんなところだったのでしょうか。改めてお教えください。
息子への接し方を学べたこと、息子の笑顔が増えたこと。息子の長所や苦手なところがわかったこと。あと気軽に発達の悩みなどを相談できるところや、困ったときは誰かに頼ることも大事だと思えたところです。
――本作や書籍「毎日全力、たまーにズボラなすや子さんち」など、家族や日常をテーマにした作品を多く描いていらっしゃいますが、理由やこだわりがあればお教えください。
私は産後、ちゃんとした母にならなきゃと頑張りすぎて心がぼろぼろになってしまったので、この本を見ている方が、これくらいゆるく育児してもいいんじゃないか、そうそう、しんどいこともあるけどこんな楽しいこともあるよね、、キラキラしてない毎日でもいいやん、と自分もちょっと肩の力を抜いていこうかなと思えるような作品になるといいなと思いながら描きました。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
ずぼらでやる気を出すのにも一苦労な私が今でも漫画を描き続けていられるのは、読者様達のお陰です。読んでくれている方達がいるからこそ私は漫画を描き続けていられます。いつか恩返しができるよう頑張ります。いつも本当にありがとうございます。