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CHIROLYN、ファンとの関係性について持論を展開「歩幅をファンに合わせる必要はない」【hide with Spread Beaverフォトブック刊行記念 インタビューダイジェスト(4)】

2023/12/26 11:00

hide with Spread Beaverフォトブック刊行記念インタビューダイジェスト!第4回はCHIROLYN
hide with Spread Beaverフォトブック刊行記念インタビューダイジェスト!第4回はCHIROLYN(C)田中和子(CAPS)

日本のロック史上に伝説を打ち立てたバンド・X JAPANのギタリストとして、そしてソロアーティストとして日本の音楽シーンに多大なる影響を与え続けるhide(ヒデ)。2023年はhideソロデビュー30周年、永眠から25年にあたる。昨年2022年、全国で公開され大きな反響を呼んだ映画『TELL ME ~hideと見た景色~』 をきっかけに、2023年の『hide Memorial Day 2023』ではhide with Spread Beaverによる25年ぶりのワンマンライブツアーが敢行された。取材開始から9カ月に及ぶ取材と誌面制作を経て、hideの誕生日である12月13日に発売されたフォトブック「hide 30th solo debut & hide with Spread Beaver appear!!Anniversary Photobook」。刊行を記念して、誌面に掲載されたhide with Spread Beaverのソロロングインタビューからhideとの思い出エピソードを中心にダイジェストでお届け。第4回はhide with Spread BeaverのBass・CHIROLYNだ。

「hide 30th solo debut & hide with Spread Beaver appear!!Anniversary Photobook」書影
「hide 30th solo debut & hide with Spread Beaver appear!!Anniversary Photobook」書影撮影 田中和子/監修 ヘッドワックスオーガナイゼーション

──2022年公開の映画『TELL ME 〜hideと見た景色〜』を機に、25年ぶりのワンマンライブへとつながりました。4月のリハーサル初日、久々にほかのメンバーと音合わせをした際はどんな感触でした?
「いやー、最初は『大丈夫か?』って感じでした。ちょっと頭を抱えるぐらい(笑)。でもI.N.A.ちゃんとかがいろいろなところをうまく調整していってくれて、大阪でライブをやる時点ではなんとかまとまっていた。そこはすごいと思いましたね。これはやっぱりhideの現場が持つパワーなのかな?って」

──その後は?
「豊洲PITの追加公演は、大阪、横浜と2公演をやった後だったんで、まとまりも早かったです。新たに演奏する曲が増えたにしてはね」

──今回のライブで、バンドとして一番気を付けたのはどの辺りでしょうか?
「俺はサポート歴が長いので、現場によってはリハ1日で20数曲やるなんてこともある。もちろんそういう場合は譜面もOKだったりしますが。その辺りは郷に入れば郷に従えで普通にやる。だけどhide with Spread Beaverはそういうのとはちょっと違う。俺らはバンド。スタジオの仕事に慣れた人の集まりじゃない。そういうのは俺とD.I.E.ちゃん、I.N.A.ちゃんぐらい。だから、バンドとしてのみんなの歩調を合わせた音の作り方が必要になってくるんですよね」

──歩調ですか。別の言い方をすると?
「楽しくやりたい!っていうのはみんな同じ。そこだけはブレないようにしっかり努めようと思いましたね。それが一番デカい。やっぱりやるからには楽しまないと」

──そして結果的に歩調は合った?
「うん。ライブって終わった後の打ち上げがすごく大事なんですよ。サポートでいろいろやっていると本当にそう思う。うまくエネルギーが回っていなかったライブの打ち上げって、やっぱり盛り上がらない。みんなが看板のボーカリストのことばかり気を使っていたりして、シーンとしている(笑)」

──その点で、今回は?
「メンバーはみんなバラバラのところで、それぞれ勝手に盛り上がっていた(笑)。俺は最近、20代から40代ぐらいの若いバンドの子たちとも付き合いがあるんだけど、その子たちがライブを観に来てくれた上に打ち上げでも盛り上がってくれて。それは俺たちが30代の頃、音楽業界が盛り上がっている頃に近いバイブスで気持ち良かったですね」

自分の歩幅をファンに合わせる必要はない

──さて、ここでファンのことも聞かせてもらえますか? hideやhide with Spread Beaverのファンのことをどう見てきたかについて。
「hide with Spread Beaverの看板はやっぱりhide。で、ファンって看板の人に似た人が集まってくるんですよね。性格が似た者同士が集まる。これってすごく宗教的な(感覚と近い)ところで、精神が似ている人の集まりなんです」

──好き、という感情の根源はそこかもしれませんね。
「うん。もちろんルックスの好みもあると思うんだけど、それ以上にだいたい精神的に同じ部類。魚で言ったらスズキ科同士みたいな(笑)。で、hideちゃんはガラスのハートで、繊細で、壊れやすい。プラス2クセ、3クセある。だからファンもそういう人が多い。俺のソロにもhideちゃんファンが来てくれたりするんだけど、『クセ強いですね〜』って目線で見ています(笑)」

──hide with Spread Beaverのファンについてはどうですか?
「hideちゃんがいなくなった時点で止まっちゃっている人もいるかなあ。とはいえ、その人たちのために何かしてあげようとはサラサラ思っていないんです。なぜなら俺は自分のためにやっているんで。今回も自分にとって必要だと思ったからやらせてもらった。自分の歩幅をファンに合わせる必要はないと思うんです。と言ってもね、もしファンの人たちが来てくれなかったら今回のようなライブはできない。ファンがいなかったら成立しない。だから感謝はしていますという」

──両面あるんですね。
「メンバーの中にはファンのために、っていう人もいるかもしれないですけどね。俺はそこまで余裕がないのかもしれない。自分のためにやるのが精いっぱいで。でもね、人って誰かを救うために生きているわけじゃない。みんな自分のことを救うのが精いっぱいで」

──ただ、誰かが誰かを救う場面、割と目にはしますよね?
「それは自分が生きていく上で『この人を救いたい!』と思うから救うんですよ。そのことで何かが自分に返ってくるから。hide with Spread Beaverも『やってくれてありがとう』って言われるけど、こっちにしてみると『いやいや、来てくれてありがとう』。ここは自然と成り立つレスポンスなんですよね。利用価値、っていうとすごく言い方悪いけど、お互いの利用価値が一致しないと駄目。でないと片方が逃げちゃう」

──逃げる?
「恋愛もそうじゃないですか。こっちが『大好き』と言っても『アナタ気持ち悪い』って言われたら終わり(笑)。ビジネスも同じ。『この買値でどうですか?』って言っても『ウチはこんだけ開発費をかけているのにそれじゃ割に合わない』って言われたら取引は成立しない」

──そう言われると世の中の事柄の全てがそうなのかもしれませんね。
「お互いの価値がちゃんと向き合っているから何かが成立する。それは意図的なものじゃなく縁。これまでずっとやってきたことが縁として結びつく。ファンとアーティストの間柄も絶対そうだと思いますね」

──バンドのメンバー同士も?
「うん。みんな同じように気持ちいいか?っていうのは、音を出してみないと分からない場合もある。今が良くても来年もいいかどうかは分からない。そのときそのときのタイミングっていうのがあるんですよ。縁というか、一期一会というか。5年付き合って、10年付き合ってそこでピタッと合わなくなったけど、15年後にまた再会して一緒に仕事するようになったとかね。hide with Spread Beaverも基本、縁。タイミングが合わないときに会ったとしても、きっといいものはできない。それが今回はいい時期だった、ということなんです」

──そんなバンドやファンとの関係の中で、今hideはどこに存在していると思いますか?
「hideちゃんが全て。hideっていうグラウンドの中で俺らは遊ばせてもらっている。ウチのメンバーも、スタッフも、ファンも、ね。だってhideちゃんのことに興味ない人は、このグラウンドの中に入ってこないでしょ? アイツのことが好きな人が集まってくる。もちろんプロとして仕事をこなしているスタッフの方もいると思います。でも、そのおかげでイベントが成功しているんだから、それでも何の問題もない。そこは人それぞれ。ただ、そういう人も含めて、アイツに縁がある人が集まっているのは確かなことで」

──時空を超えた縁ですね。
「hideちゃんとは縁がある。俺は今でもアイツの親友やっているんだな、って思っているんですよ。それに向こう(hide)にだってタイミングってもんがある。ライブにしてもね。勝手にこっちの都合だけでやっても、彼は力を貸してくれないと思う。その挙げ句、パワーのないステージになってしまうかもしれない。そこにhideがいるから、hide with Spread Beaverは成功しているんです」


プロフィール/ちろりん●1965年10月14日生まれ、神奈川県出身。THE STATIONでデビュー。以降、多数のレコーディングに参加する。サポートミュージシャンとして小泉今日子、大沢誉志幸、布袋寅泰、ウルフルズ、GACKT、倖田來未などと共演。hideとは1994年から活動を共にしている。また、ソロとして2000年にメジャーデビュー。現在、hide with Spread Beaverをはじめ、さまざまなアーティストと精力的にライブを行っている。

※フォトブック「hide 30th solo debut & hide with Spread Beaver appear!!Anniversary Photobook」ソロインタビューより抜粋。インタビュー全文は書籍でお楽しみください。
取材・文=今津甲

下に続きます
■「カドカワストア限定」予約特典も
カドカワストアにて予約購入された方に「hide with Spread Beaver AR Photo Card」1枚をプレゼント
※数量限定のためなくなり次第、特典配布終了となります

フォトカード付き「hide 30th solo debut & hide with Spread Beaver appear!! Anniversary Photobook」予約・購入リンクはこちら
https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322304001079/

●カドカワストア 特設サイト
https://store.kadokawa.co.jp/shop/pages/hidewithspreadbeaver.aspx

■書籍仕様
【タイトル】
hide 30th solo debut & hide with Spread Beaver appear!! Anniversary Photobook
【価格】4,180円(本体3,800円+税)
【発売日】2023年12月13日(水)
【判型】A4正寸判(297mm×210mm)
【ページ数】128P(フルカラー)
【備考】並製、ソフトカバー付き

■hideプロフィール
X JAPANのギタリスト"HIDE"として、またソロアーティスト"hide"(hide/hide with Spread Beaver/zilch)として活動。 hideが発信しつづける音楽やライブパフォーマンスは、常に革新的でオリジナリティに溢れ"まるで移動遊園地やおもちゃ箱をひっくり返したようだ"と表現された。1998年に永眠して25年となる2023年はソロデビュー30周年を迎え、様々なプロジェクトが展開されている。

●hideオフィシャルウェブサイト
https://www.hide-city.com/

●hide with Spread Beaver プロフィール
https://www.hide-city.com/mcontents/special/mday2023_SB/profile.html
hide 30th solo debut & hide with Spread Beaver appear!! Anniversary Photobook
hide 30th solo debut & hide with Spread Beaver appear!! Anniversary Photobook
田中 和子 (写真), ヘッドワックスオーガナイゼーション (監修)
KADOKAWA
発売日: 2023/12/13
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