名作映画を紹介する上映イベント「TAIWAN MOVIE WEEK」が昨年に開催されたことも記憶に新しく、近年盛り上がりを見せている台湾作品の特集をWEBザテレビジョンでも展開。本記事では台湾BLが世界的に注目されるきっかけとなった「History」シリーズ第1弾のなかの1作「HIStory 離れて、離さないで」をチョイス。本ドラマがいかに萌えを与えるか、3つのポイントに分けて考察する。
かわいげも併せ持つチャーミングな俺様
本ドラマは「イタズラなKiss〜Miss In Kiss」のデューク・ウーと本作でブレイクしたエディソン・ソン共演で描く台湾ボーイズラブストーリー。大学生のフォンホーのともとに母の再婚相手の息子の数多くの荷物が届く。続いて現れた“息子”は、なんと人気アイドルのチェン・チンだった。親同士の再婚で兄弟として一緒に住むことになった2人だが、チェン・チンはわがままに振る舞い、根が優しいフォンホーは何かと世話を焼いてゆく…というのが物語のあらすじ。
まず萌えポイントの1つめはチェン・チンの俺様なキャラクターだ。壁ドンに顎クイ、頭ポン、これらは少女漫画などで人気のシチュエーションだが、共通していることはいったい何か?そう、これらで胸ときめかすのは俺様キャラクターなのである。俺様なキャラクターが主人公の行き場をなくして接近したり、顎をクイッと持ち上げて顔を向き合わせたりすると、そのリードする大胆な姿にドキドキとさせられて心揺さぶられるのだ。ただし、俺様はともすれば自己中心的なキャラクターに見えかねず、やはり受け手側に好意がないとときめきは成立しないものである。
チェン・チンは俺様な姿勢を見せるもののどこかかわいげがあって、フォンホ—がほだされるのもうなづける魅力がある。期待していた仕事がなくなればチェン・チンはしょんぼりとしょげ、その後に1つしかないベッドに自分も寝ると宣言するようすは強引ななかに甘えん坊な顔も見え隠れして憎めない。道を歩いていてフォンホ—の前を自転車が通れば、チェン・チンはグイッと力強く引っ張って抱え込むが、はたと気づいて照れて体を離す。チェン・チンは自信家でグイグイと行動するところにドキッとさせられるが、純粋さがあって好感が持てる。チャーミング俺様だからこそ、胸をキュンとときめかせてくれるのだ。
手放しで萌えられる“公式妄想”の強み
次に注目して欲しいのはフォンホーの女友だちのモンモンで、彼女はBLファンだ。モンモンはBLファンの視聴者にとっては同じ目線を持つ非常にありがたい存在。BLファンはキャラクター同士についていろいろと妄想をふくらませる人が多く、ラブラブだったりイチャイチャしたり、2人が仲良くしているところを想像するだけで幸せな気分になってくるというもの。ただ、中には勝手にこんな妄想していいだろうか、と若干の後ろめたさを感じる人がいるかもしれない。そこへきて、このモンモンがいれば一切の不安なく視聴者も妄想が楽しめる。なぜならBLファンのモンモンは、フォンホ—とチェン・チンがイチャラブしているところを妄想し、それが劇中でしっかりと映像化されて描かれるのだ。
例えば、フォンホ—から昨夜は普通に寝たと聞くだけで、モンモンはベッドに寝転がっている彼らを妄想。グミを食べさせ合って笑ったり、スマホを見たり、見つめ合ったり、ラブラブな2人のシーンが繰り広げられる。むつみ合う彼らの姿を見るだけで胸がキュンとなるはず。登場人物が劇中で妄想してくれるから、視聴者のほうは公式から供給される妄想シーンを楽しむことができるというわけだ。手放しで堂々と胸キュンシーンを堪能して欲しい。