コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、トラウマ持ちの方から共感の声が止まらない話題の人気作品「毒親育ちの婚活」をピックアップ。
作者の三森みささんが12月9日にX(旧Twitter)で同作を投稿。そのツイートには合わせて2.2万以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では三森みささんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。
トラウマは身体にも刻まれる…
毒親育ちの”みさ”は婚活を始めた。
しかし、プロフィール欄を見れば「家族と仲がいい人が理想です!」など“生育歴”を気にする人ばかり…。虐待育ちで親と仲が悪いみさは、生育歴を気にしない人を探すところから始めた。
そして、ある男性とメッセージでやりとりするようになり、ついにカフェで会うことになった。職種も趣味も違う彼だが、妙なところで気が合い、その後も何度か会ってご飯を食べた。
みさが“虐待育ち”であることを知った後も、彼はまた会ってくれた。依存症治療について詳しく話しても「おもしれえ~」と聞いてくれる。友達のような関係性だったが、彼から「付き合いましょう」と言われたことがきっかけで、彼とのお付き合いが始まった。
しかし、結果的に彼とはお別れすることになる。彼と手をつなぐと、身体に刻み込まれた“トラウマ”がよみがえるのだ…。
三森みささんの実体験をもとに、毒親育ちの婚活の難しさがリアルに描かれている本作。読者からは「私めっちゃこれだわ」「気持ちがすごく分かる」「私と節々の発想や反応が同じ」「考え方似すぎてて泣いちゃった」など共感の声が多数寄せられている。
「自分自身の経験から…」作者・三森みささんが語る創作秘話
――「毒親育ちの婚活」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
元々トラウマ治療の漫画の一環で描きました。プライベートな話なので描くのか悩んだのですが、毒親育ちって恋愛をして問題が出てくることが多いからです。また、自分自身の経験からも、結局恋人にできることってどれだけ好きでも助けてやりたくても限界があって、回復は自分自身でやらないとどうにもならないという考えがありました。だから「治療がうまくいかないと対人関係もうまくいかない」を描く意味で、このエピソードを入れることにしました。
――トラウマ持ちの方々から共感の声が多数寄せられていますが、本作を描くうえでこだわった点があればお教えください。
当時、治療がうまくいったと思っていて調子に乗ってたんですよね。だからこそ、この後に痛い目にあった時にかなりダメージがあったのですが、それを表現するために当時のテンションをそのまま描いています。それから、この漫画は「考え方を変えてもどうしてもうまくいかない」という人に向けて身体療法のアプローチを描いています。なので、当時やっていたように、考え方を変えて付き合う相手を変えてみた、という部分からスタートしています。
――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
親子仲がいい人がいいですと色々プロフィールを見てショックを受けているシーンですかね〜。どうしてもその部分は生まれ持ったもので変えられないので、リアルにズキズキします笑
――本作を通じて読者に伝えたいメッセージをお教えください。
人生の困難にぶち当たった時に、助けを求める場所が大方家族だったりするのですが、その居場所を失うのが毒親育ちです。次に助けてくれるのは友達か恋人か…できればそうあって欲しいのですが、トラウマの問題は重くなるほど、他人とのコミュニケーションも難しく、信頼関係が築けなくなり孤独に追い込まれる問題でもあります。そのため一時的に友人や恋人ができても、トラウマがあると長期的に続けるのが難しくなってしまいます。その中で多くの人が使える可能性のある、医療や心理士や自助グループでの回復を主体にしています。助けを求める際に何かの役に立てば幸いです。
――今後の展望や目標をお教えください。
とりあえず夏までにまずはAmazonで電子書籍を出版したいと思っています。トラウマにかかる人たちは長期間の体調不良により生活保護などを受けている方も多いです。最低でも自分の身に起こっていることがわかるように、安めに提供できればと思います。まだ出版社は決まっていませんが、書籍もできればな〜と思っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも応援ありがとうございます!特にトラウマで悩まれている方々に支えられています。この漫画がトラウマに悩まれる方々の、あるいは社会問題でもあるトラウマの問題に対して、すでに解決法があることを知ってもらえれば嬉しいです。
時事通信社
発売日: 2020/03/10