『テニミュ』 は「かけがえのない存在」
――2024年1月にはミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs立海が開幕されますが、岩崎さん含む、青学(せいがく)キャストは本作で全員卒業となります。
まだ「Dream Live 2024」が控えているとはいえ、海堂 薫としてお芝居ができる本公演は今回が最後になります。本読みをして、稽古に入った今でさえも、油断すると泣きそうになっちゃいますね。今回の立海公演は、青学(せいがく)にとっても今までにない強敵に挑みますし、ストーリー的にも心情的にも役と僕自身がリンクする部分がすごくあります。
――これまで、海堂 薫という役にはどのように向き合ってこられたのでしょう?
海堂はすごくストイックでスタミナがあって、毎日10km走ってトレーニングをしているようなキャラクターなんです。だから、僕もできるだけ毎日走るようにしてきました。あとは、普段の生活の中でも、海堂だったらこう思うだろうな、ということをずっと考えていましたね。
海堂とは、負けず嫌いで努力家なところが似ているなと思っているんです。だからこそ、目の前に壁が立ちはだかっているときや、何かに向けて頑張っているときに、「今、海堂と同じ感情になれている、近づけている」と思うことができて、それが僕にとってモチベーションになっていました。
――岩崎さんにとって本作は初めての役付きとなった作品でもあります。これまでの期間を振り返ってみて、『テニミュ』はどのような存在になりましたか?
かけがえのない存在ですね。本当に何も知らなかった僕に、お芝居とは、役者とは何なのかということを、イチからすべて教えてくれた作品です。歴代の先輩方とのつながりや素敵な仲間との出会い、今後のステップアップとなるチャンスと、本当にたくさんのものをいただきました。すべての人たちへ感謝の気持ちを忘れずに、最後の公演に挑みたいと思っています。ぜひ楽しみにしていただけたらうれしいです。
フリーとして活動することで「視野が広がりました」
――俳優としてのターニングポイントとなった出来事があれば教えてください。
4月からフリーで活動しているんですけど、俳優としても人としても、それがターニングポイントだったと思います。フリーでの活動で、今まで事務所の方がやってくれていたことを全部ひとりでやるようになって、本当に視野が広がりました。
それに、ひとつのお仕事をするのにも、たくさんの方が裏で動いてくれているんだということを強く実感しています。そういう細かいひとつひとつのことに気づくことができるようになったし、小さなことでも感謝の気持ちを持っていたいと思えるようになりましたね。これまでは、あまり俯瞰で見られていなかったなと。
――何事も実際に経験してみないとわからないことだらけですよね。
そうですね。でも、同年代のサラリーマンの友達はメール対応やスケジュール調整とかそういうことを毎日やっているんだよなとも思いますし、俳優業ってやっぱり特殊ですよね。例えば、取材や舞台の本番などでも、スタッフさんがお水を用意してくれるじゃないですか。それが普通ではない、当たり前ではないということに、フリーになっていなかったら気づけなかったと思うんです。お水だって、誰かが買ってきてくれるからあるわけですし。フリーを経験したからこそ、そういうことに目を向けられるようになったので、本当によかったなと思っています。