趣里がヒロインを務める連続テレビ小説「ブギウギ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)。年内最後の本放送となった12月28日放送の第64回は、戦時中の殺伐とした空気の中でスズ子(趣里)の“歌の力”が人々に安らぎをもたらす展開。丁寧に積み重ねてきたスズ子の歌唱シーンを踏まえた希望あふれる年内ラストに、視聴者からも感動の声が上がった。(以下、ネタバレがあります)
「断ってください」歌わないスズ子
「ブギウギ」は、「東京ブギウギ」などの名曲で知られる昭和の大スター・笠置シヅ子をモデルにしたオリジナル作品。戦後の人々に生きる活力を与えた歌手・福来スズ子の波瀾万丈の人生の物語だ。
第13週「今がいっちゃん幸せや」は、持病の結核が悪化し倒れた愛助(水上恒司)を看病するためスズ子が愛助と同居生活を始める展開。愛助からは「病気がようなったら結婚してください」の言葉も…。不安が多い中でも、ついに訪れた夢のような日々にスズ子は幸せをかみしめた。
その一方で空襲警報が当たり前の日常になると、スズ子は愛助を置いて地方へ公演に行くのを拒むようになっていた。公演先で東京大空襲の知らせを受け、生きた心地がしなかったスズ子は「断ってください」「ワテ嫌や」と、愛助のそばにいたい一心。だが、そんなスズ子が再び世の人々に歌を届けよう、と決心する出来事が、第64回で描かれた。
愛助に背中を押され「ワテ、歌うわ!」
ある夜、空襲警報で防空壕に避難したスズ子たち。もはや人々の不安は限界に達し、赤ん坊が泣きだしたのをきっかけに、赤ん坊の母親をなじる声が上がった。スズ子が優しく「アイレ可愛や」を歌い始めると、しだいに人々の表情も穏やかに。冷たく凍り付いたようだった空気も柔らかくなっていった。
スズ子の歌には、人々を元気にする力がある。あらためて、そのことを思い知った愛助に「こんな時やからこそ、スズ子さんに歌(うと)てほしい。戦争の影で懸命に生きる銃後の人々にとっても、福来スズ子の歌声は生きる糧、生きる希望になるんやから」と力強く背中を押され、スズ子は「ワテ、歌うわ!」と、再び地方公演へ赴くことを決心したのだった。
NHK出版
発売日: 2023/09/25