コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は多田基生さんの『君は武道館に立てない』をピックアップ。
12月20日に作者の多田基生さんがX(旧Twitter)に投稿したところ、2万件のいいねを呼ぶほど大反響した。この記事では作者である多田基生さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
25歳になってもアイドルを夢見るが…何者にもなれない主人公に同情する声が続出
18歳から上京し、武道館を目指してアイドル活動を続ける成島咲也加。しかし、彼女は地下アイドルでそこそこ有名になったが、7年間特に売れることはなかった。また、所属していたグループも解散し活動を休止することに。
25歳になっても何者にもなれない自分に焦りを感じる中、とあるアイドルオーディションに合格し、再び活動することが決まる。
アイドルとして活動する日々に充実していたのだが、プロデューサーからとある仕事を任される。
仕事場に向かうとそこには…アイドル業界の裏側が待っていた。
読めば読むほど主人公に同情してしまう… アイドル業界の裏側を描いた多田基生さんに密着
――『君は武道館に立てない』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
「地下アイドル」をテーマにアイドルの“夢”の部分と“その夢を叶える厳しさ”に焦点を当て、夢と現実の狭間で葛藤する人々のリアルな姿を描くことで、夢追い人の苦悩と決断の重さを描きたいと思い制作しました。
――今作を描くうえで「こだわった点」や、「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
アイドル業界の「影の部分」であるリアルな問題に切り込みつつ、メインテーマとしては、主人公が夢と現実の間で感じる心の動揺を丁寧に描くことです。読者の皆様にはこの心理的な葛藤に注目してもらいたいです。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
「しがみついた夢はいつしか引き際を失い呪いになる」というセリフが気に入ってます。これは、多くの人が直面するかもしれない状態を代弁しており、主人公の内面的な葛藤を象徴しているセリフでもあります。
――今回のストーリーは、どのようなところから着想を得ているのでしょうか。
実際のアイドル業界のリアルなインタビュー、書籍、アイドルに推しがいる編集者からの提案などから着想を得ています。
――アイドルになる夢を諦めきれない主人公とその業界の裏側を描いていますが、創作した上での感想をお願いします。
この作品を通じて、夢に向かう人々の複雑な感情や、業界の陰影を描くことができたと感じています。夢を追い続けることの尊さとその苦しさ、代償について表現していきたいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
この物語は、地下アイドル業界の暗い部分を通して、夢と現実の間で揺れる人間の葛藤を描いています。読んでくださる皆様には、彼女たちの成長と決断を通じて、自分自身の人生にも思いを馳せ、何かを感じ取っていただければ幸いです!