コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は朝田ねむいさんの『まだら模様のヨイ』(小学館)をピックアップ。
人とは異なる見た目の主人公・ヨイの物語を描く本作。作者である朝田さんが2023年10月19日に自身のX(旧Twitter)に第1話「ヨイ」を投稿すると、1.4万以上の「いいね」が寄せられ話題に。この記事では朝田ねむいさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
謎の能力を持つ“まだら模様”の女性 怒涛の展開に「ハラハラする」と反響の声
裕福な家庭に生まれ、習い事や勉強もそつなくこなす“賢い”子として育てられた少女・ヨイ。しかし中学生になって突然、左目の下に黒い痣のような“模様”が表れる。その模様が徐々にまだらに広がり大きく目立つようになっていくと、ヨイは授業中に顔を伏せて塾もサボるようになり、成績もたちまち落ちてしまう。さらにはクラスメイトから陰口を言われ、家でも母親からひどく責められ続けたヨイはある日、学校で暴行事件を起こしてしまうのだった。
そのことを機に母から化け物扱いされるようになり、ずっと家に引きこもるようになるヨイ。母に怒られないよう日々怯えながら生活している中、ある時リビングで両親が言い合いしている声を聞く。こっそりと外へ逃げようとしたヨイだったが、自分のことについて話す両親の心無い言葉にショックを受ける。
ヨイは泣きながら家を飛び出し、お金ももたず繁華街の道端で途方に暮れていた。すると、通りがかりの中年女性から声をかけられる。守脇チヨと名乗るその女性は「行き場のない人たちに食事や寝る場所を提供する“サンロード”にあなたを案内する」と言い、迎えを呼ぶ。飲み物とサンドイッチを渡され、口にしながら優しく介抱されているうちにヨイは意識を失ってしまうのだった。
ふと目を覚ましたヨイは、見知らぬ倉庫の中の手術台で脇腹にメスをあてられていることに気づく。近くにいた守脇から「内臓をもらうだけだから」と言われ、混乱するヨイ。その場から逃げ出すも主犯格の男たちに捕まってしまい、ヨイは強い恐怖と激しい頭痛を感じる。すると、目のまわりのまだら模様が全身を黒く覆い尽くすほどにどんどん広がっていく。そして別人のようになったヨイは人間離れした怪力で男たちに立ち向かっていき…。
行き場を失くしたヨイが様々な人物と出会い、絶望の世界を生き抜く様を描くSFサバイブストーリー。ヨイの謎の能力と隠された秘密が明かされていくとともに、予想外の展開が次々と待ち受ける本作にX上では「不穏でおもしろい」「ハラハラする」「思わぬ世界観に引き込まれていく」「人としてのまごころがありつつヒリヒリするのが好き」「続きが早く読みたい!」などの声が寄せられ反響を呼んでいる。
「弱々しいけどすごい力を持つ、凡庸な人間の生き様が見たい」作者・朝田ねむいさんの創作背景とこだわり
――『まだら模様のヨイ』を創作したきっかけや理由があれば教えてください。
ずっとBLを描いていたんですがどうしても女性キャラクターが描きたすぎて描かせてもらえないかなーと提案しました。ろくでもない優しくもない自分勝手な女が死ぬほど好きなのでそういったのを描いていきたいです。
――人と異なる見た目を持つヨイのキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?
はじめはもっと攻撃的で排他的なキャラだったんですけど、弱々しいけどすごい力を持っている、でも別にその事に消極的で凡庸な人間が生きてるほうが見たいなーと思ってこうなりました。
――感情によって変わるヨイの“まだら模様”や驚異的な変異が印象深い本作ですが、作画の際にこだわっている点や「ここを見てほしい」というポイントがあれば教えて下さい。
作画は特には…もっとかっこよく描けるようにうまくなりたいですね…。
――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?理由と共にお教えください。
優しくない少女アイちゃんとかろくでもないおばさんとかに振り回されて、年上のアケノさん達にやさしくされてるヨイです。
――朝田ねむいさんにとって、一から世界観を創り上げ物語を展開していくうえでこだわっている点や特に意識している点がありましたら教えて下さい。
逆に物語をつくるなかですごい冷静になってなんか変だな…もっと違う展開ないかな?とか思ってぐるぐる考えてしまったあげくでも改善策はなく中途半端に落ち着いてしまうので、もっと「細かいことはいいんだよ」な勢いと説得力のある感じになりたいですね…。
――2023年10月19日には本作のコミック第1巻が発売されました。今後の展望や目標がありましたらお聞かせいただけますか。
描きたいものがたくさんあるので描かせてください…という気持ちです。ストーリーのテンポ上、描きたかったエピソードとか小ネタを削りまくってるのでどこかに描きたい…。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
読んでくださりありがとうございます!少しでも楽しんでもらえたりなにか得るものがあったら嬉しいです。