コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、壱弎ハルヒトさんの「其れの手も借りるほど」。
この作品は「〇を貸す女と、其れに縋る女の話」として、2023年12月29日にX(旧Twitter)に投稿されると、瞬く間に7.3万以上のいいねを集めて話題になった。このポストには「胸が痛くなった」「ラストに泣いた」「どうにか幸せになってほしい」といったコメントが殺到。この記事では作者の壱弎ハルヒトさんに、作品のこだわりなどについてインタビューを行った。
”手の貸し借り”それだけの関係のはずだった…
大学生の桃は、恋人の瑠璃を亡くしたばかりで生きる希望を見出せずにいた。
ある日、瑠璃が生きていた頃2人でよく通った店を訪れた桃。そこで出会ったのは瑠璃とそっくりの手を持つ女性だった。
悩みを打ち明ける中で仲を深める2人。そこから手の貸し借りをするという奇妙な関係が始まる。
初めは手を貸すだけでお金がもらえるなんてと楽なバイトくらいにしか考えていなかった女性であったが、徐々に別の感情が生まれていることに気づき…
「もうバイトできないや。さよならだ」
と、突然の別れを切り出す。二人の女性の切ない物語に「ラストで泣いた」「胸が痛くなった」と共感の声が多く寄せられている。
作者:壱弎ハルヒトさん「言葉遊びに注目しながら読んで貰いたい」
ーー『其れの手も借りるほど』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
入浴中にふと、自分の指に貼っていた絆創膏を見て思いつきました。似たような箇所に絆創膏を貼っていた友人を思い出して、「手だけを見たら、友人の手みたいだな」とぼんやり思ったんですよね。そのまま物語を頭の中で練ったので、本作の大半の部分が湯船の中で生まれました。その時は人差し指のささくれに絆創膏を貼ってました。お湯がしみて痛かったです。
ーー今作を描くうえで「こだわった点」や、「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
本作では、『手を貸す』という言葉と、ことわざの『猫の手も借りるほど』をリンクさせています。何気なく使っている2つの似たような言葉を新しい解釈で物語に落とし込んでいるので、その言葉遊びに注目しながら読んで貰いたいです。
あとは、主人公の服装ですね。ヒロインの桃といる時は必ず頭に被り物をしているのですが、これは主人公なりのお洒落で、桃の前でカッコつけてるんです。だけど、作品内で唯一被り物を外しているシーンもあります。それがどういう場面なのか気にして貰えると、もっと本作を楽しめるんじゃないかなと思います。
ーー今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
主人公が発した「瑠璃サンの二次創作として消費されるのが、ちょっと辛くなってきた」というセリフが気に入っています。『代わり』じゃなく『二次創作』という言葉を使いました。本作品を掲載した媒体がウェブサイトやSNSだったので、スマホで漫画を読む人なら、『二次創作』という言葉を使ったり見た事があったりするだろうから、ちょっとメタっぽくて印象を残せるんじゃないかな〜と思いました。
ーー本作は7.3万件以上のいいねを獲得しています。多くの反響を呼んだことについて率直な感想をお聞かせください。
今までもイラストや漫画をSNSにアップしていましたが、それと比にならないくらいの数の人に読んで貰えていたので、びっくりしました。寝る前にいいね数を見た時は数百だったのに、朝起きたら桁が大きく変わってて……本当に嬉しかったです。拡散してくれた人達と執筆中に支えてくれた人達に感謝しています。
ーー壱弎ハルヒトさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
本作の執筆を通して、自分の技術や想像力に何が足りないのかをじっくり振り返ることが出来ました。そういった反省点を忘れずに改善を続けて、読者の人達にもっと楽しんで貰えるような作品を描けるように頑張りたいです!ウェブやSNS、コミティアなどで活発に活動していきたいなと思っています。
ーー最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも応援してくださったり、X(旧Twitter)で活動を見守ってくださり、本当にありがとうございます。もっともっと面白く、斬新な作品を描けるように頑張ります!楽しみに待って頂けたら嬉しいです!