コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、さとかつさんがX(旧Twitter)に投稿した『琉球蟹探訪』をピックアップ。
作者のさとかつさんが1月8日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、1.1万以上の「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、さとかつさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
カニだらけの沖縄旅へ…
沖縄旅行に行ったとき、空港ホールの一角に佇むカニを見つけた。沖縄では開発によって住処を奪われた野生動物が、都市部に進出していると聞いたことがある。このカニもその一匹なのか。
このカニは沖縄のカニを紹介するツアーをしており、私は怪しみながらも参加することにした。ツアーなのに路線バスに乗り、沖縄の街を走っていると右手には「ゆいレール」が走っていた。なぜゆいレールがモノレールなのか、カニが言うのは、それは「カニ」の為だと言う。地下には大きなカニの巣穴があり、昼は穴に潜み、夜に行動するのだ。そんなでたらめあるのか…と言っていると、次にバスは「カニ像」に到着した。そこにはとても大きなガザミの抜け殻があった。何度も沖縄に来ていたのに、カニに気づかなかったことに、とても驚いた。町中を注意深く見てみると、車窓にカニの存在を感じられた。
そして、カニの聖地「マングローブ」でバスを降りた。見た目は森だが、満潮時には海水に浸るので、塩分の強い植物が生えているのだ。ここには多種多様なカニがいた。森を抜けるとそこには、はさみを振り上げて踊っているカニがいた。人々はこのカニを「シオマネキ」と言うのである。シオマネキはどうして踊っているのかとカニに聞いてみると、「そりゃあ楽しいからですよ」「貴方も…私と踊りませんか?」と言われた。汚れちゃうし、遠慮しようと思っていると…カニが泥団子をぶつけてきたのだ。これには私も火が付き、泥だらけになるまでカニと遊んだのだった。たまにはこういうのも良かったと思い、着替えをしていると後ろから何者かに眠らされてしまった。
目を開けると、たくさんのカニが目の前にいた。そのカニは私を生贄にするのだという。私がどうして生贄にならないといけないのか、そう聞いても何も教えてくれない。すると地鳴りが…。私は身動きができないように、縛られていたため逃げることができなかった。目の前には、カニと呼ぶようには異様に巨大な怪物がいた。すると、危機一髪でシオマネキが助けてくれたのだ。安全な丘までくると、シオマネキがあれはオオガニだったと教えてくれた。
彼らは、海の埋め立てをやめさせるためにやったことだったのではないかと教えてくれた。来月ここには、ゴルフ場が作られるのだという。これには私も「なんかごめんね」と思ってしまった。カニの為に配慮されてる面や配慮していない面も見てきたカニは、「一時は力ずくで、というのも考えました。しかし、このハサミが血塗られてしまえば我々は故郷や同胞の命だけではなく、誇りも失ってしまう…。」として、ツアーをしているのも人間との付き合い方を探していたからであると教えてくれた。
私は帰路に就くとき、空港でシオマネキがお見送りをしてくれた。次会うときは、水着を持ってくるねと約束をして、お別れをしたのだった。
カニについて愉快に描かれたり、カニのことをよく知ることが出来たり、カニについて考えさせられる、カニ三昧の本作。ネット上では、「この発想がすごい!」「雰囲気もお話も全部好き!」「とても良いお話だった」「こういう漫画を待ってた」といった作品に魅了された声や、「カニを見る目が変わりそうです」「カニがどんどんかわいく見えるようになってきた」「カニが描かれ分けられていてすごい!」といったカニに対する反響が多く寄せられた。
「動物たちと話が出来たら素敵」作者・さとかつさんの語る創作の裏側と展望
――「琉球蟹探訪」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
去年の春、沖縄旅行に行った際にシオマネキというカニを初めて見て、その生態や見た目が気に入ったのがきっかけです。
――「琉球蟹探訪 」 の中で気に入っているシーンがありましたら、理由と共にお教えください。
カニと泥遊びするシーンです。実際の干潟を観察していても、カニたちが遊んでいるように見えたので少しでもその様子が伝われば良いなと思います。
――さとかつさんの作品には海の生き物が多く登場されていますが、一番好きな生き物がいましたら理由と共にお教えください。
「ミズウオ」という深海魚です。毎年決まった時期になると浜辺に打ち上がる不思議な魚で、見た目がかっこいいのでお気に入りです。
―― 蟹とおしゃべりなど想像できないストーリーが描かれていますが、さとかつさんの作品はどこから着想をえているのでしょうか。
自然の中で動物たちを観察していると、なにか物言いたげな目をしているヤツがたまにいます。そんな動物たちと話ができたら素敵だなと思うので、漫画の中で動物を喋らせることが多いです。
実際は何も考えていないのかもしれませんが…。
―― さとかつさんの今後の展望や目標をお教えください。
現在は同人誌中心ですが、いずれは商業でも単行本など出せたらいいなと思っています。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
今後も生き物を題材にした漫画をコミティアなどで発表しますので、暖かく見守っていただけると幸いです。
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