コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、ざく ざくろさんがX(旧:Twitter)上に投稿した漫画「友達に憧れすぎてなんでも真似しちゃう子」だ。作者のざく ざくろさんのフェイクを交えた実話であり、だからこそのリアリティさを感じる今作。1月18日時点で1.7万以上のいいねがつく反響が集まり、話題となっている。今回は作者のざく ざくろさんに制作の背景を伺った。
ざくちゃんの青春そのもの「憧れの礼子ちゃん」
中学1年生のころ、ずっと1人だった主人公のざくちゃんに友達ができた。茶髪にピアスをしたちょっと不良っぽい礼子ちゃん。ざくちゃん以外とはあまり喋らない礼子ちゃんのことを内弁慶・外地蔵で自分と同じだと感じるざくちゃん。
礼子ちゃんが先輩を好きになれば、本当は同級生が好きなのに頑張って先輩を好きになろうとする。真面目でテストの点もよかったのに、礼子ちゃんが「授業て聞いたことない」と悪い点をとれば、それがかっこいいと感じて頑張って授業を聞かずにテストで悪い点をとる。礼子ちゃんが親の許可なしで自分の服を買っていることもかっこいいと感じ同じように買う。
ざくちゃんは礼子ちゃんの真似をすればするほど、彼女への“憧れ”は強くなっていった。
このまま大好きな礼子ちゃんとずっと友達でいたいと感じるざくちゃん。しかし、ある日礼子ちゃんから「転校すんねん」と打ち明けられる。そして突然礼子ちゃんは転校し、学校で1人になってしまったざくちゃん。転校した次の日からざくちゃんは学校へ行かなくなってしまった。
その後、礼子ちゃんから電話がかかってくる。ざくちゃんは学校に行っていないことを恥ずかしく思い、隠して毎日電話をする中で礼子ちゃんとの青春を電話越しに感じていた。すると、突然礼子ちゃんから「ざくちゃん、学校行ってへんねんて?」と言われる。なんと担任の先生が礼子ちゃんへ連絡をし、ざくちゃんを学校へ行くように言ってほしいと頼んでいたのだ。そこから礼子ちゃんとの毎日の電話はだんだんと減っていった。
それでも今ざくちゃんの中では礼子ちゃんとの思い出が生きている。ざくちゃんにとって礼子ちゃんは青春そのものだったのだ。
この話を読んだ読者からは「泣いちゃったぁぁ」「読んでて色々思い出すなぁ」「刺さっちまった」「ギャンギャン泣いた」「礼子ちゃんに届きますように…」「名作」といった声があがっている。青春時代に“憧れの友人の真似をする”という同じような経験をした人も多く、共感をして涙する人もいるようだ。
今回は、漫画の作者・ざく ざくろさんに作品ができあがるまでの話を伺った。
フェイクを交えつつの実話!作者・ざく ざくろさんの創作背景とこだわり
――「友達に憧れすぎてなんでも真似しちゃう子」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
このお話はフェイクも交つつの実話なのですが、レイコちゃんと過ごした半年間のことを大人になってもずっとずっと覚えていました。 人生の中で何回その半年を反芻したかわかりません。 なのでもう漫画の中でレイコちゃんに会おう!と思って描きました。 描いてるときはホントに中学生のときに戻っていて、目の前にレイコちゃんがいる感覚で描いていました。 幸せな時間でした。
――「友達に憧れすぎてなんでも真似しちゃう子」を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
とにかくレイコを私好みの見た目に描くことにこだわりました。作中の中のレイコは全て 「私が見てたレイコちゃん」なのです。
――「友達に憧れすぎてなんでも真似しちゃう子」の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
レイコが「授業て聞いたことない」というセリフを言う表情が気に入ってます。 彼女はいつもなんの悪びれもなく、サラッとびっくりするようなことを言う子だったので、 その感じがよく出せたかなと思います。
―― ざく ざくろさんの別作品『クリオネの告白』に登場する「うらら」は、今作のレイコちゃんをモデルにしていると伺いましたが、『クリオネの告白』を描こうと思ったきっかけや理由、レイコちゃんをモデルにしようと思ったきっかけなどあればお教えください。
「クリオネの告白」を描こうと思ったきっかけは、私は好きになるのは男性なのですが性的に興奮するのはほとんど女性なので、そのときの罪悪感をテーマにした漫画を描こうと思ったのがきっかけです。
また、主人公のクリオネは、父親から性的な嫌がらせを受けていて、「性欲は人を傷つける、凶器たりうる」ということを知っている。なのにその凶器を自分が一番大切な人に向けてしまう…という葛藤を描きたかったのです。
因みにレイコちゃんを(見た目の)モデルにしようと思ったのは、こんな苦しい漫画描いてるんやから、何か自分にご褒美を用意しよう!と思ったからです。
レイコちゃんに再び漫画の中で会うことがご褒美なのです。
――ざく ざくろさんが漫画を描くうえで、大切にしていることがありましたらお教えください。
「嘘の感情を描かない」ということです。 しかし つい一か月前、キャラの感情と向き合うのが辛すぎて 嘘の感情を描いてしまったところです。あのときは大反省しました。精進します…。
――ざく ざくろさんの今後の展望や目標をお教えください。
未来のことは全然考えてないのですが、 今レイコちゃん(の見た目)をモデルにした子がでてくる「クリオネの告白」という創作漫画を描いているので、 その漫画をたくさんの人に読んでもらえるようコツコツやっていきたいと思っています。
――最後にざく ざくろさんの作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
実は2023年は、漫画家もう辞めようかなとかめちゃくちゃ考えていたのですが、結局今も描いています。 また描けたのは、応援してくださる皆さんがいたからです。 これからも出来るだけ長く漫画を描いて、皆さんに恩返ししていきたいと思っています。