ピュアすぎるふたりに思わず胸キュン
後半は、夕暉の翼レグネジィ(CV:森久保祥太郎)と晴天のカーテ(CV:雨宮天)の物語。リチアの空を守るワイバーン軍司令のレグネジィは、人間の女児がひとり行方不明になった事件を受けて、配下のワイバーンたちを問い詰め、犯人をみんなが見ている前で殺してみせる。レグネジィは恐怖と規律を駆使することで、どう猛なワイバーンたちを統率しているのだ。
この処刑シーンでは、規律を重んじるレグネジィの苛烈さが際立っている。ただ、こうでもしないとワイバーンを統率することなどできないということかもしれない。レグネジィは「真に強き者は率いる者 より多くの命に責任を負う者だ」と語っており、ワイバーン軍の司令としての責任感はかなり強く、単なる恐怖政治という訳でもないことが伺える。また作画に目を移すと、レグネジィの浮遊シーンも大きな見どころだ。死骸を口に咥えて空中に浮かび続けるカットでは、かなり激しく翼をはためかせている。リアルなことを言えば、ワイバーンの体重や翼の大きさを考慮するとそもそも浮くのは難しいとは思うが、それでも「もし飛べるなら絶対にこれくらい必死に頑張るよね」というラインが見事に表現されている。一方で、空中を飛行しているシーンではあまり翼は動かず、つまりはグライダーのように「滑空」していることが分かる。「第二話」でもワイバーンの飛行シーンは描かれたが、今回はそれがより丁寧に表現されていて、これがワイバーンという存在の説得力を格段に増していることは忘れてはならないだろう。
リチア中央城塞にある塔では、目の見えないカーテが日記を書いていた。そこにやってきたレグネジィは、カーテと他愛のない会話を交したのちに横になり、彼女に歌うよう促す。カーテとレグネジィはともに本物の魔王の襲撃を受けて生き残った者同士であり、カーテの歌は、絶望と恐怖のなかで正気を保つことができた希望の歌だった。盲目の少女・カーテとワイバーンであるレグネジィの、奇妙な、それでいて純粋な心の交流が美しい。
ここではなんと言ってもレグネジィのギャップが萌えポイントだろう。つい先ほど部下を処刑し「規律を乱したバカの末路を見ろ!」とすごんでいた彼が、カーテの前では口の悪いツンデレ彼氏くらいの塩梅に収まっている。カーテのことを「雑魚」や「マヌケ」、「ノロマ」などと言いつつも、転びそうになった彼女を「転んだらどうする!?」と本気で心配するなど、なんとも可愛い一面を見せてくれる。レグネジィが自分の身体に触らせない理由はまだ不明だが、ふたりのあいだにある絆は本物なのだろう。ここはSNSでも「めっちゃイチャイチャするやん」、「歌うカーテと聴くレグネジィが最高!」など、癒された視聴者も多かった模様だ。ともあれ、「第三話」を通じてリチア側の主要キャラの人となりや関係性はだいぶ明らかになったと思う。タレンとダカイのちょっぴり打算的で大人な関係と、レグネジィとカーテのピュアで強い絆。あなたはどっち派だっただろうか? さて次回「第四話」は1月24日(水)放送予定。期待して待とう。
※朴ロ美のロは、王へんに路
■文/岡本大介
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