1月26日(金)の公開が間近に迫る『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。メディアなどで同作の話題を目にし、その原点である『機動戦士ガンダムSEED』の物語が気になっている方も多いのではないだろうか。今からおよそ20年前に放送された作品ながら、なぜ今なお人々を魅了し続け、不動の地位を確立するに至ったのか。その理由の1つに、『SEED』の物語が様々な魅力を兼ね備えている点がある。今回は『SEED』の物語のロードムービーとしての一面にフォーカス。やや珍しい角度から、その魅力へと迫っていく。
ヘリオポリスから始まるキラと仲間たちの旅
敵軍であるザフトの侵攻によって穏やかな日常を追われ、戦艦アークエンジェル、さらにはストライクガンダムに乗ることとなった主人公のキラ・ヤマト(CV.保志総一朗)。『SEED』には、敵の追撃から逃れるため、様々な地を目指すキラとその仲間たちの物語が描かれている。
中立国オーブのコロニー・ヘリオポリスから宇宙に飛び出した彼らの最初の目的地となったのは、地球連合軍の軍事要塞アルテミスが設けられている月。しかし、その道中でもアークエンジェルはザフトのさらなる追撃や、フレイとの再会など様々な出来事に遭遇していく。特にフレイとの再会は『SEED』とキラにとって、とても重要なイベントの1つだ。孤独との向き合い方、救いたい人を救えなかった後悔、心の隙間を埋めるために求めた人のぬくもり、友人との確執。キラと彼女の周辺には、多くのドラマが存在している。
目標までの過程にある紆余曲折を経て、ときに運命を左右されながらも、1つずつ困難を乗り越えていくこと。それこそが『SEED』をロードムービーに分類できる根拠であり、同作の見どころでもある。当初はガンダムに乗ることに後ろめたさを感じていたキラも、幾つもの場面で起こる出来事の中で仲間たちとの絆を強め、地球連合軍の一員としてザフトに立ち向かっていくことを決意する。こうした展開をロードムービーと呼ばずして、何に分類することができようか。
「カガリとの再会」はロードムービーの王道的展開?
ついに地球連合軍第8艦隊とも合流し、地球連合軍本部のあるアラスカを目指すこととなったアークエンジェル。しかし、ザフトの猛攻を受け、第8艦隊を犠牲にして地球・アフリカ北部へと不時着するのだった。そこでキラたちはザフトと対立する現地のレジスタンス「明けの砂漠」に遭遇する。その面々の中には、ヘリオポリスで出会った少女カガリの姿があった。
かつて出会った人との邂逅もまた、良質なロードムービーには欠かせない要素だ。彼女がなぜヘリオポリスに滞在し、なぜヘリオポリスからの避難の列を飛び出していったのか。レジスタンスのメンバーとしてザフトと対立する理由は? そうしたバックグラウンドを知ることで、キラたちの物語はさらに深みを増していく。
地球上でもザフトの追撃を受け続けるアークエンジェルだったが、やがてカガリの仲立ちにより、中立国・オーブの庇護を受けることに。そのことがきっかけとなり、キラは少しずつ「地球連合軍の一員としてザフトに対抗する」という考えを変えていくのだった。その過程では、キラとカガリにまつわる衝撃の秘密も明かされる。
何気なく登場し、シーンの変化にあわせてフレームアウトしていったカガリのような存在が、実は物語の行方に大きな影響力を持つ。これはロードムービーにおける王道的な展開でもある。『SEED』は、「長い旅路の中での人との出会いによって、考え方や彼らとの間にある関係性を変化させていく」という、キラと仲間たちの成長の物語なのだ。その点もまた、同作におけるロードムービーらしさであると言える。
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