橋本愛が、2月3日に都内で開催された主演映画「熱のあとに」公開記念舞台あいさつに登場。共演の仲野太賀、木竜麻生、メガホンをとった山本英監督と撮影の舞台裏エピソードなどを語った。
橋本愛「沙苗の愛こそ本物の愛だって思えた瞬間があった」
約5年ぶりに映画で主演を務める橋本は、自らが信じる愛を躊躇(ちゅうちょ)なく振りかざす主人公・沙苗の印象について「沙苗の愛をすぐに理解することはできなかったんですけど、準備を進めていく中で、沙苗の愛こそ本物の愛だって思えた瞬間があった」と吐露。
その理由については「沙苗自身が世間や周りから見たら狂気をはらんでいるように見えたり、猟奇的に見えたりしていたかもしれないけど、沙苗の目線に立ってみると周りのほうが狂って見える。この愛を知らずに生きられることのほうが理解できないし、この愛こそ自分が生きている証でもあるから、それがなくても生きられるのはすごいな、そっちの方がおかしいんじゃないかと。沙苗自身はいたって正気だったんですよ。そういう狂気と正気が逆転したような現象が起きたときにすごく面白くて。沙苗を演じられたことで自分の視野や世界が広がった感覚があったので、すごくかけがえのない経験になりました」と、沙苗という役を通して新たな発見ができたことを伝えた。
精神的に厳しい撮影も気持ちは「健やかに」
「今回の役は精神的にギリギリだったシーンもたくさんあった」という橋本だが、撮影以外の時はなるべく“健やかな気持ち”で過ごそうと意識していたそう。
橋本は「役者さんによっては普段から役になりきって自分の状態もある意味壊したり、乱したりしながら演じる方法もあるのかなと思うんですけど、私自身は本体(自分)が壊れてしまうと表現の精度が下がるタイプの人間だなということが分かってきたので、健康的で快活でい続けて、表現するときだけどこまでも突き抜けられるような準備だけをしていこうと決めた」と、沙苗の感情をオフまで引きずらないよう心掛けたことを明かした。
今回の現場は橋本、仲野、木竜、その他のキャスト、スタッフも含めすごく温かく、物語とは全然違う空気感だったそうで、撮影の合間には橋本、仲野、木竜の3人で仲良くボウリングに行ったこともあったという。
その時のことを聞かれ、橋本は「3人でボウリングをしたんですけど、みんなスコアが雑魚過ぎて…」と苦笑いすると、木竜も「本当にまれに見る泥仕合を繰り広げ…」と続け、仲野も「大接戦。大盛り上がり!」と、55~60くらいのやや低めのスコアで接戦を繰り広げたことを自虐気味に語っていた。
映画「熱のあとに」は、東京・新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国公開中。
「熱のあとに」とは
同作は、2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件にインスパイアされた、見る者を翻弄(ほんろう)する愛の物語。これが商業映画デビューとなる山本監督が、脚本のイ・ナウォンと共に構想を練ったオリジナル脚本を映像化し、第28回釜山国際映画祭、第43回台北金馬映画祭、第24回東京フィルメックス・コンペティション部門へ正式出品されるなど、国内外から注目を集めている。
◆取材・文・撮影=月島勝利(STABLENT LLC)
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