コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、フクチマミさんの『「私たち〇〇なんだから隠し事はナシだよ」は、おかしい事だったのか…たとえ親子でも、恋人でも、親友でも、有名人でも【バウンダリー】を尊重することが必要』をご紹介。本作は書籍「おうち性教育はじめます 思春期と家族編」に掲載されている。
作者であるフクチマミさんが11月21日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、5.5万件を超える「いいね」が寄せられた。本記事ではフクチマミさんに、作品のこだわりなどについてインタビューをおこなった。
親子間でも尊重したい「バウンダリー」とは
職場で自分と異なる意見の存在を否定する人に悩まされたり、友人や恋人が自分の言動をコントロール(支配)しようとしたりといったトラブルに悩んだことはないだろうか。実はそれも、バウンダリーの問題なのだという。
ホサカさんは、ある日学校から帰宅した娘さんの様子がおかしかったという話を始めた。ベッドに伏せってしまい、食欲もないという。心配になったホサカさんは奥さんと2人で娘さんに理由を聞いたが、「話したくない」と突っぱねられてしまった。話を聞いていた村瀬幸浩先生は元保健体育科教諭で、長く高校生や大学生の性教育に携わった性教育研究者・書籍の共著者でもある。ホサカさんの一連のできごとを聞いて「無理に聞き出すのはよくない」とし、バウンダリーについて解説を始めた。
バウンダリーとは、人と人との境界線のことを指す。「自分を守るために他者との間に自分で引く、自分のYESとNO分ける線」だというのだ。村瀬先生は『たとえ親子であっても、娘さんが「話したくない」とバウンダリーを引いたのなら尊重することが大切』だという。「どんなに親しくても別の人間である以上は線引きをすることが必要で、自分を守り対等な人間関係を築くための重要なスキル」だと語っている。本作では「家庭で親がバウンダリーを越えた接し方を続けると、子どもがバウンダリーの築き方がわからないまま育ってしまう」「バウンダリーの築き方を学ぶことは、人にとって一生ものの財産になる」と、わかりやすい漫画で詳しく描いている。
X(旧Twitter)では「とてもわかりやすい」「対等の関係、勉強になります!」「相手との距離感って本当に大事ですよね」「子供のころどう接してもらうのかって、こんなに大事なんだなあ」などのコメントが寄せられている。
「性教育は【自分と他者を大切にするための教養】だと知ることで重要性に気付いていく」作者・フクチマミさんの作品へのこだわり
――本作や書籍「おうち性教育はじめます」を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
ポイントは、性教育に対する抵抗感や不安を隠さないことです。私も性とかsexといった文字が書かれている本を書店で買ったり、本棚に置いておくことにはものすごい抵抗感がありました。いやらしく恥ずかしいことだと思っていましたし、社会的にもそういった扱われ方をしていたので…。だから性教育は自分とはちょっと違う世界のものだと思っていました。
このマンガの登場人物も、戸惑って「でも…」「ちょっと無理」といったセリフが多いです。でも性について、まずは【自然科学の話】として学んでいき【自分と他者を大切にするための教養】だと知ることで抵抗感は薄れていき、性教育の重要性に気付いていきます。読者の方にもその変化を追体験していただけるのではと思っています。
――本作をはじめX(旧Twitter)で公開されている作品を拝見して、大人になっても異なった認識でいたと実感しました。「おうち性教育はじめます」を描こうと思ったきっかけや理由があればお教えください。
私もそうだったのですが「自分は大人だし、性についてひと通りの知識がある」と勘違いしがちなのは、日本にはアダルトコンテンツや人から聞いたあやふやな性情報が溢れていて、ポルノや性交に関する情報=性の知識だと思わされてしまう部分にあると思います。
娘が生まれて、この子たちが性に対する不安を味わって欲しくないと思いました。でも自分には子どもに説明できるだけの知識がない、自分の体の仕組みさえよく分かってないと、その時初めて気づきました。そもそも私たち大人がわからないのは、学校教育や家庭で教わっていないのだから当然なんです。それなら性について真面目に学んでみようと思ったことが、このマンガを描くきっかけです。
――書籍「おうち性教育はじめます」をはじめ、ためになる作品を多く描いていらっしゃいますが、理由やこだわりがあればお教えください。
妊娠出産・育児・お片付け・お金・日々のご飯作り・中学英語の学び直し・性教育…と色々なテーマで描いているのは、その時の自分の興味や、不安やしんどさを解決したいと気持ちが描く動機になっているからです。そのテーマについて毎回専門家の方に取材をして、より「今私たちが知りたいこと」+「知っておくと役立つこと」をわかりやすく伝えられるようにこだわって描いています。
――今後の展望や目標をお教えください。
これまでは自分と同年代の人に向けて描いていたのですが、他の世代に向けて描くことにもチェレンジしてみようと思っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
多分私の作品を読んでくださるのは、固定の読者というより、そのテーマに関心のある初めましての方がほとんどだと思います。その方のモヤモヤが晴れてスッキリしたり、面白いなあと思って頂けたら嬉しいです。