コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“我が子を想う母親が毒親へと変貌していく様子”を描いた漫画『すべては子どものためだと思ってた』をピックアップ。
作者である漫画家のしろやぎ秋吾さんが、2023月12月16日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、1万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事ではしろやぎ秋吾さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
体の弱い息子に対する“心配や不安な気持ち”が母親に重くのしかかる…
ある日の昼休み。38歳の専業主婦である土井くるみは、体調を崩して保健室で休んでいた小学3年生の息子・こうたを迎えに来た。
くるみは「帽子はちゃんとかぶってた?」「お茶は飲んだの?」と心配し、その日はこうたを早退させて一緒に帰ることに。帰り際、午後のプールの授業で遊ぶ約束をしていたクラスメイト達がこうたの早退を残念がる中、その内の一人・かえでが「(プールでの勝負は)こうたには無理だからやんなくていーよ」と発言。かえでの発言を受けてくるみは帰り道、「嫌なこと言われたらハッキリ嫌だって言いなよ」とこうたに助言する。
そんなくるみは、生まれつき体が弱く学校を早退することも多いこうたのために、勉強を見たりしていた。そして、気が小さいこうたがクラスメイト達から無意識に下に見られていることも気にしており、“このままでいいのかな…”と漠然とした不安を感じていた。
また、こうたが“失敗すること”も恐れており、成功体験を積み重ねることで自信を付けさせたいと考えるくるみ。そんな彼女に対し、こうたの父親・けんじは「もしものことがあればそのとき困ればいいんだよ」とあくまで楽観的なスタンスだ。
その後、こうたに得意なことを見つけてあげたいくるみは、こうたを空手教室に通わせ始める。その教室にはクラスメイトのかえでも通っており、「絶対やった方がいいよ!」「お前弱いし!」と言われながらも、くるみは初めての習い事に手ごたえを感じていた――。
母親として、こうたのことを常に気にかけるくるみ。本作では、“あなたはなにも悩まなくていい”“全部お母さんに任せておけば大丈夫だからね”と、心の中で呟く様子も描かれている。
ネット上では、「責任感から暴走しないと良いけど…」「毒親っぽくなっていく姿がどこか恐ろしい…」「お母さんには冷静であってほしい」とくるみの行動を心配する声と同時に、「親の気持ちって親になってわかるよね」「頑張ってるお母さんもこうたくんも救ってあげたい」「気持ちはすごいわかる」など、子どもを想う気持ちに寄り添う声も多く見られた。
読者に対して「主人公がだんだん狂っていく様子にゾッとしてもらえたら」
――『すべては子どものためだと思ってた』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
きっかけは編集さんからのご提案でした。最初は自分に描けるだろうかと不安でしたが、自分の子供に対する不安や心配事、接し方など見つめ直しながら描いていきました。
――本作では、母親の“子供を思う気持ち”がとても伝わってきました。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
初めは誰もが思ったことがあるような、「これ毒親じゃないじゃん」っていう小さな悩み事から徐々にエスカレートさせていきたかったです。でも描いていて、徐々に「毒親になるってどういうことだ?」とわからなくなってずっと悩みました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
25話目の「よかったー」です。自分は毒親かもしれないけど毒親だと信じたくない、何が悪いのかも分かってないし直し方もわからない。そんな時ずっと目標にしていた追いかけていた存在が勝手に堕ちてくれた。うまくいってない自分が肯定されたように感じた。自分はここまで酷くない。こうならなくて良かった――っていう表情が好きです。
――本作を通して読者の方に伝えたいことや、感じ取ってほしいことは何かありますか?
自分と同じような悩みを抱えていた主人公がだんだん狂っていく様子にゾッとしてもらえたらいいなと思います。
――フォロワーさんの体験談の漫画を描こうと思ったきっかけや、漫画家を目指そうと思ったきっかけがあればお教えください。
体験談を描こうと思ったのは、子どもの頃からバラエティ番組の再現VTRを見るのが好きで、4コマ漫画でできないかなと思ったからです。
――後の展望や目標をお教えください。
とにかく辞めずに描き続けること。続けるためにちゃんと稼ぐこと。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも漫画を読んでいただいてありがとうございます。これからも変わらず毎日描いていくので見にきてください。あと面白い体験談があれば教えてください。