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米テレビ界の賞レースを席巻するスタジオ“FX”とは?「一流シェフのファミリーレストラン」で快挙 新作「SHOGUN 将軍」では戦国時代を描く

2024/02/20 07:10

「一流シェフのファミリーレストラン」
「一流シェフのファミリーレストラン」(C) 2024 Disney and its related entities

大規模ストライキの影響で延期になっていた米テレビ業界で最高の栄誉である第75回プライムタイム・エミー賞の授賞式が今年1月に華やかに開催されたことを皮切りに、ハリウッドがアワードシーズンに突入。そのエミー賞で並み居る競合をおさえて、コメディーシリーズ部門の作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞ほか最多10冠を達成したのが、ディズニーが持つ製作スタジオの一つ、FXの「一流シェフのファミリーレストラン」だ。

テレビ業界において、賞レースの常連だった有力番組が相次いで終了する中、ゴールデン・グローブ賞のテレビ部門などでも数々の有力アワードを席巻しており、賞レースの新たな顔として圧巻の存在感を見せている。

「一流シェフのファミリーレストラン」の快挙の裏には“作家性”を重視するスタジオの姿勢


FXは、ディズニーが誇る多彩なクリエイティブスタジオの一つ。先日のエミー賞では、FXの作品が全16部門の賞を受賞し、5年連続で最多記録を更新した。作品の質の高さに定評のあるFXの存在感は、ここに来てまたぐっと高まっている。その勢いを表しているのが、「一流シェフのファミリーレストラン」の快挙だ。

「一流シェフのファミリーレストラン」
「一流シェフのファミリーレストラン」(C) 2024 Disney and its related entities

若き有名シェフのカーミーが、亡くなった兄が経営していたサンドイッチ店を再建するべく地元に戻り、一筋縄ではいかないスタッフたちと奮闘する群像劇。ありふれた題材で展開も予測がつくものでありながら、賞に輝く一流のエンターテインメントに仕上げている点に、驚きと感動を覚える作品だ。

作家性を感じさせる作風に、現代最高峰の品質で、誰もが共感する普遍的なテーマを伝える感動の人間ドラマは、作り手の確かな手腕に裏打ちされたものでもある。

FXは、2010年代のコンテンツの質と数が過去最高の記録を更新し続けた“ピークテレビ時代”と呼ばれるテレビの黄金時代を牽引し、重要な一角を担ってきた。

その最大の特徴として、クリエイターたちの個性や作家性に最大限のリスペクトを払うブランドとして、視聴者と業界人の双方からの信頼が厚いことが挙げられる。また、「一流シェフのファミリーレストラン」にも言えることだが、FXはそこまでキャリアがなく、知名度の低いクリエイターであっても、その才能を認めて育ててきた。

数々の賞に輝いた「アトランタ」(2016年~2023年)の映像作家としてのドナルド・グローヴァーや、ヒロ・ムライといったクリエイターたちも記憶に新しい。人材を発掘し、チャンスを与え、育てるところまでやるのがFX印。こうしたFXの精神は、ディズニー作品の核を成すクリエイティブ・エクセレンスとも通じるものがある。

「アトランタ」
「アトランタ」(C) 2024 FX Productions

クリエイターたちに最大限のリスペクトを払うFXだからこそ“時代を切り開く作品”が生まれる


FXから誕生した名クリエイターの代表格として、稀代のヒットメイカー、ライアン・マーフィーの存在がある。彼の手掛けた「アメリカン・ホラー・ストーリー」(2011年~)はテレビ業界に革新的な変化をもたらした。

「アメリカン・ホラー・ストーリー」
「アメリカン・ホラー・ストーリー」(C) 2024 FX Productions, LLC

今でこそテレビでも人気の要素となったホラーだが、番組が始まった2011年当時は、従来ジャンルとしては最もテレビシリーズには不向きとされていた。大胆で刺激的で社会風刺を多分に盛り込み、それでいて絶妙に視聴者の興味をそそる大衆性と娯楽度の高さが、マーフィー一流のセオリーだ。

また、キャストを入れ替えて同じテーマの異なる物語を描くアンソロジー・シリーズというスタイルは、現在ではテレビのメインストリームの一つとなっているが、このスタイルを現代に再発見したのも本作と言える。

このように、マーフィーは何度もテレビの常識を覆し、革新をもたらす作品を生み出してきた。とりわけ、トランスジェンダーの黒人女性を主人公にした「POSE/ポーズ」(2017年~2023年)は、アメリカのテレビ史にその名を刻む記念碑的な作品だ。

「POSE/ポーズ」
「POSE/ポーズ」(C) 2024 FX Networks LLC. All rights reserved.

LGBTQ+の権利に関しても積極的に作品に取り入れてきたマーフィーは、トランスジェンダーにスポットを当て、キャストにもスタッフにも大量の当事者を起用した。だからと言って、啓蒙的な作風ではなく、純粋に胸を熱くする感動ドラマとして楽しめる点に、マーフィー作品の凄さがある。

この番組がプライムタイム・エミー賞ほかで高く評価されて以降、ゲイやレズビアンだけでなく、トランスジェンダーの俳優が登場する作品は以前に比べて目に見えて増えている。今では当たり前のように目にするヒットメイカー、ジャンルやスタイル、人種や性的マイノリティのレプリゼンテーションからクリエイティブで先進的な映像表現には、ルーツをたどればFX作品が先駆者であるケースが少なくない。

下に続きます
▼【公式】Disney+で「一流シェフのファミリーレストラン」を見る
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/the-bear

▼【公式】Disney+で「アトランタ」を見る
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/atlanta

▼【公式】Disney+で「アメリカン・ホラー・ストーリー」を見る
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/american-horror-story

▼【公式】Disney+で「POSE/ポーズ」を見る
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/pose

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