長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『るてんのんてる』(毎週月曜夜2:25-2:40、カンテレ)をチョイス。
鉄板トークはどこに、、、『るてんのんてる』
芸人やタレントに限らず、我々一般人にとっても、鉄板トークというものは強い武器である。とはいえ、コミュニケーションとあらば誰彼かまわず振り回せばよいというのではない。ただ懐に忍ばせておけばよいのだ。もちろん、その刃を手入れする必要はあるだろうが、わざわざ丸腰の相手に獲物を抜く必要はない。「なんか面白い話ないの?」と相手が切りかかってきた時に繰り出す。そしてウケる。コレでしまい。こちらは聞かれて応えただけだからノーダメージだし、ウケて大変気持ちがいい。「なんか面白い話ないの?」と聞かれさえすればいつでもウケられる状態。それが鉄板トークを持つということだ。
しかし、その鉄板トークというものがどこにもない。それなりに笑って楽しく生きているつもりが、いざ面白い話を、と言われれば、とたんにすべてが真っ白になる。出来事に大笑いをしたことは何度もあったはずなのに、掴もうとするとまるで泡のように消えていく。そもそも、たとえ掴めたところで、”ガス代”ほどの鉄板トークには到底なりえないものばかりだ。
だから、読売テレビの若手ディレクターが渾身の企画を放送するチャレンジ番組『るてんのんてる』にて、10年目の樫原ディレクターが持ってきた”鉄板トークが出来あがるところを見たい”という企画には私も大いに興味をそそられる。鉄板トークを持たぬ者として、そのレシピはノドから手が出るほど欲しいものなのだ。
ねづっち、九条ジョー、ぁみの3人が、日本一長い商店街である大阪・天神橋筋商店街をロケをし、その後、その商店街の中で起きたことだけでトークをしてもらうという企画。彼らは、三者三様のアプローチで、それぞれの鉄板トークを紡ぎ出してゆく。
出来上がったトークがどんなものかは是非本編をご覧になって確かめていただきたいのだが、これは鉄板トークを作るというよりは、取り留めもないような出来事をどう切り取って表現するか、というような内容(商店街の住人から怪談話を仕入れてきたぁみは別だが)になっていて、そこに彼らの話者としての高い実力を感じながらも、一日程度じゃ鉄板トークが生まれるわけもないのだろうと、言ってしまえば当たり前の現実を思い知る結果ともなったのであった。
悔しいところだ。1800円くらいで鉄板トークが売られていないものだろうか?もしくは、私の持っている小話と交換という形でも構わない。以下に条件を書いておくので、取引を希望する方がいらっしゃれば連絡をください。
【求】鉄板トーク
【譲】この間、たぬきを2匹見ました。
同時にです