コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“スランプ中の漫画家が新しい担当と出会って前向きになる話”を描いた漫画『落ち目の強面ホラー作家と、自称吸血鬼の編集者の話』をピックアップ。
作者である漫画家の藍野さんが、2023月12月16日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、8300件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では藍野さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
ホラー作家の新しい担当編集者は、“自称吸血鬼”のぽっちゃり男性…
本作は、「くらげバンチ」に掲載されている読み切り漫画『ミスマッチタッグ』。スランプに陥っているホラー作家・ディアスと、“自称吸血鬼”を名乗る担当編集・エドワードの2人を中心に物語が展開していく。
ある日、新しい担当編集としてディアスのもとにやって来たエドワード。彼は自称吸血鬼だと告げるのだが、ふくよかな見た目をしているため、ディアスは「ぜってー嘘だね!だって吸血鬼と言ったら美形が定説なんだよ!!」と言って、まったく信じようとしない。
そんな中、エドワードはディアスの作品に登場する、“泣き虫だけど好きな子には一途な登場人物・アントニー”に憧れを抱いているようで、「周りに馴染めず自分を見失いそうになる弱さと、でも決して自分を嫌いにならない強さ」「最高の主人公です!!」と熱弁する。
少し変わった担当編集だが、ファンがいることに嬉しさを感じるディアスは、その後エドワードと一緒に帰ることに。そして帰宅途中、エドワードに「サイン会はしないんですか?」と聞かれたディアスは、「そういうのはいい」と言って、過去に起きた“あるトラウマ”を振り返り始めた…。
ディアスがサイン会での出来事を話していると、突如目の前に“ヤバいファン”が現れ、「サインください…」「あと血も下さい…!!」と言いながら、ナイフを手に持ち襲い掛かってくる。その瞬間、エドワードはディアスをかばうようにして飛び出し、ファンの腕に噛みつくのだった――。
“マッチョなホラー作家”と“吸血鬼の担当編集”という一見変わった組み合わせの2人が、少しずつ打ち解け合っていく本作。ネット上では、「誰かを応援することになる作品って素敵」「笑ったし、最後ちょっぴり泣いた」「このコンビ、最高に好きかも」「誰かを応援したくなった」「凸凹コンビだけど、すごく相性良いね」「ストーリーも絵もすごく良かった」などのコメントが寄せられている。
作画の際には「登場人物の見た目に偏りが出ないようにと考えながら描いています」
――『落ち目の強面ホラー作家と、自称吸血鬼の編集者の話』(『ミスマッチタッグ』)を創作したきっかけや理由があればお教えください。
ギャップのあるキャラクターがとても好きで、元々「人外+ギャップのあるキャラ」の漫画をSNSで描いていたのもあり、今作もそういうものが描きたいなと思ったのがきっかけです。
――本作では、“編集者が吸血鬼”という設定や、ディアスとエドワードの二人のミスマッチ具合が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
初めは作家のファンという一般人の設定にしようと思ってたのですが、担当さんの助言で、作家の身近な人物=編集者になりました。そのおかげでエドというキャラが生まれたので、とても感謝しております。
2人とも、「吸血鬼」「ホラー作家」にある固定されたイメージとは真反対の人物像にすることにこだわりました。そんな2人の会話のテンポを楽しんでいただけたら嬉しいです。あとはふたりの体格にもこだわっています。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
やはりエドがディアスの手を取り「面白いものを作っていきましょう!」と言うシーンがお気に入りです。自信のなかったエドが、ディアスによって自分を好きになることができ、そのエドがディアスを勇気づけることによって2人が“作家と担当”として結ばれたのだと思います。
それとは別に、モブ男の「これに先生の血を入れてですね『キレイだね』って声をかけようかと」が地味に気に入ってます。一言でヤバさが伝わるセリフを考えるのに非常に時間が掛かかりました(笑)。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
こんな見た目のキャラ描きたいな~からの、じゃあどんな性格・属性だったら面白いだろう…と、キャラからストーリーを考えることが多い気がします(逆のパターンもあります)。また、こんなキャラのこんなシーン見たい!というのもありますね。
――藍野さんの作品について、読者からは「絵のタッチ」や「ストーリー展開」など称賛の声があがっていますが、普段作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
様々なタイプの人間を描きたいという自分の欲求に従い、登場人物の見た目に偏りが出ないようにと考えながら描いています。映画が好きなので、その影響も強いと思いますね。あと私は、髭キャラがいると非常に楽しくなります。
――今後の展望や目標をお教えください。
先ほどもお答えしたように、様々なタイプの人間を描きたいので、自分の好きなものを突き詰めていきたいです。あと私のフェチズムが伝わると嬉しいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
本作品やSNSの漫画を読んで頂きありがとうございます。感想や応援、とてつもなく励みになっています!読んだ誰かが「読んでよかった!」と思えるような、楽しくて少しほっこりする漫画を描いていきたいです。どうぞよろしくお願い致します!
作者X(旧Twitter):藍野
▼「くらげバンチ」に掲載中の漫画『ミスマッチタッグ』はこちら▼
https://kuragebunch.com/episode/14079602755563348178