「よし、やってやろうじゃないの」と気合十分
販売するショッピングモールにやってきた雅彦。中井らと販売するオリジナル商品のキッチンバサミを確認する。在庫は200個。これを売り切るのがこの日の目標。
「よし、やってやろうじゃないの」と雅彦、いや“グラッチェ椎名”は気合十分。
営業時間となり、いよいよ最後の実演販売がスタート。いつものように元気いっぱい、大きな声で商品を紹介するとたくさんのお客さんが集まってきてどんどん売れていく。
「グラッチェ、グラッチェ」と売れるたびに感謝の言葉を掛ける雅彦。一馬(濱田)とまき(筒井)も最後の実演販売を見に会場にやってきたが、瞳の姿はまだない。出掛ける直前に担当している妊婦から連絡があり、助産院に留まっていたのだった。
瞳「一生懸命働くってさぁ、すてきなことだよね」
妊婦の方の容態も良さそうなのを確認し、瞳は会場に走って向かった。
なんとか間に合った瞳は、痛みを堪えながら実演販売をしている雅彦を見て、高校時代のことを思い出していた。友人たちを学校の帰りに商店街を歩いていると実演販売をしている雅彦に出会した。
友人たちは「声でっか!」「見に行こ」と興味を持つが、瞳は恥ずかしく思い、父親だと知られたくなくて友人たちを促して素通りした。
しかし、今は常連のお客さんから温かい言葉をかけてもらう姿を瞳はカメラで収め、誇らしい気持ちになった。
同僚たちから拍手され、中井から感謝状が贈られ、21年の実演販売を終えた“グラッチェ椎名”を引退。
帰宅後、雅彦は瞳と乾杯。「お父さん格好よかったよ。本当に格好よかった。中学とか高校の時、お父さんの仕事が嫌いだと言って本当にゴメン。一生懸命働くってさぁ、すてきなことだよね」という言葉で瞳は雅彦をねぎらった。
「一つ一つ終わっていくね」という雅彦の言葉は、寂しさよりも達成感のほうが強く感じられた。雅彦の表情とかがポジティブに感じられたのは「死ぬまでにやりたいことリスト」に「瞳の結婚式に出席する!」の項目が増えたから。
◆文=ザテレビジョンドラマ部