エマ・ストーンが映画「哀れなるものたち」の主人公・ベラ役で第96回アカデミー賞主演女優賞を受賞した。エマは「ラ・ラ・ランド」でも同賞を獲得しており2度目の主演女優賞受賞という快挙だ。また、ディズニーの実写作品「クルエラ」などでは主演とともに製作総指揮を務めており、まさに今後のハリウッド映画界を担っていく存在。アカデミー賞受賞スピーチの紹介に加え、彼女のキャリアを改めて振り返る。
第96回アカデミー賞主演女優賞を受賞 エマ・ストーンのスピーチ
なんてこと、ドレスが壊れてしまったわ。
本当に本当に驚いています。掠れ声ですみません。
候補者の皆さん、サンドラ、キャリー、アネット、リリー、みなさんとこの賞を受賞したと思っています。みなさんから刺激を受けていますし、この場所に一緒にいられてとても光栄です。
先日、このような別な場でちょっとパニックになってしまったのですが、その時ヨルゴス(・ランティモス監督)から言われたのは、“自分を客観的に見てごらん”ということでした。彼は正しかった。単に私だけのことではなく、素晴らしい何かを一緒に作り上げたチームの一員として感じれば良いからです。それこそが映画作りの最高の部分です。
私は全ての出演者、スタッフ、愛と心遣いと才能を注ぎ込んでくれた全ての人とこの賞を分かち合えることを心から名誉に思います。
そしてヨルゴス、ベラ・バクスターの人生という贈り物を授けてくれたあなたに感謝します。
そろそろ締めくくりですが、私の家族に感謝したいです。お母さん、兄弟のスペンサー、お父さん、夫のデイヴ、愛しています。そして、あと3日で3歳になる私の娘は、私たちの生活をカラーに変えてくれました。空よりも大きな愛を送ります。
ありがとうございました。(壊れたドレスの)後ろ姿は見ないでね。
名作「ラ・ラ・ランド」などエマ・ストーンのキャリア
1988年11月6日、アリゾナ州に生まれたエマは現在35歳。子どもの頃から地元の劇団に通っていたという。2007年に「スーパーバッド」で映画デビュー。この時に制作陣のアドバイスで赤毛に染めるが、これが思いがけず定着。エマのトレードマークのひとつになった。
2009年に「小悪魔はなぜモテる?!」で初主演を飾ると、「アメイジング・スパイダーマン」などのヒット作に出演。そして2014年に、マイケル・キートン主演の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で初めてのアカデミー賞ノミネーションを成し遂げる。
アカデミー賞助演女優賞候補入りを果たしたことで、実力派俳優としてさらに脚光を浴びることになったエマ。日本では2017年に公開された大ヒット作「ラ・ラ・ランド」で第89回アカデミー賞主演女優賞を受賞。そして2018年公開の「女王陛下のお気に入り」でも3度目のアカデミー賞ノミネーションを果たす。
製作総指揮としても精力的に活動
オスカー常連になったエマ。2018年には「マニアック」でドラマシリーズ初主演のみならず製作総指揮デビューを達成。2021年に公開されたディズニーの実写作品「クルエラ」(ディズニープラスで配信中)でも主演と製作総指揮を務めている。
「101匹わんちゃん」に登場した悪名高きヴィランのクルエラの誕生秘話を描いた「クルエラ」の企画を聞いたのは2015年のことだったそう。「長い時間を経て本当に作れるなんて夢みたい」と話していたエマ。個性炸裂の豪華なファッションと共にディズニー映画史に残る新たな歴史を刻んだ本作は、第94回アカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞している。
「哀れなるものたち」で2度目の戴冠
そんな彼女の最新作が日本では2024年1月に公開された「哀れなるものたち」。「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマが再タッグを組んだロマンス・コメディ・ドラマ。
エマが体当たりで挑んだ本作は第80回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に続き、第81回ゴールデングローブ賞ではミュージカル・コメディ部門で作品賞と主演女優賞を受賞し賞レースを席巻。
そして本日3月11日に発表された第96回アカデミー賞で主演女優賞を受賞。また本作は主演女優賞とともに、衣裳デザイン賞や、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、美術賞の合計4部門でのアカデミー賞受賞だ。
俳優として、クリエイターとして、間違いなく今後のハリウッドを牽引していく存在であろうエマ・ストーンに今後も注目したい。
「哀れなるものたち」ストーリー
自ら命を絶った不幸な若き女性ベラ(エマ・ストーン)が、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって奇跡的に蘇生することから始まる。蘇ったベラは“世界を自分の目で見たい”という強い好奇心に導かれ、放蕩者の弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)の誘いに乗り、壮大な大陸横断の冒険の旅へ出ていく。やがて貪欲に世界を吸収していくベラは、平等と自由を知り、時代の偏見から解き放たれていくのだった。
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