コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、酉村さんがX(旧Twitter)上に投稿した漫画「推しに願いを」だ。3月13日時点で1.6万以上のいいねがつく反響が集まり、話題となっている。今回は作者の酉村さんに制作の背景を伺った。
推しのアイドルがSNSの誹謗中傷によって自殺した…
主人公・坂下は推しであるアイドルグループ「キングキャット」のリーダー相川リリーを追っかけて東京まで引っ越した熱烈なファン。しかし、ある日リリーがSNSの誹謗中傷により自殺をした。
推しの死によって心病んでいた坂下だが、ある日「願い屋『夢ノ世』」という店のキャッチのチノと出会う。チノがどことなくリリーに似ていたため思わず店に入った坂下。その店は「お客様にお酒を楽しんでもらいながら『願い事』を楽しんでもらう」がモットーだという。坂下はチノに、リリーとの出会いや「またあの頃みたいに手を握ってくれたら…」と涙ぐみながら今の自分の願いを伝える。
気が付くと坂下は店の外にいた。
坂下が不思議に思っていると、スマホに通知が。そこにはSNSの画面で「相川リリーさんが動画を投稿しました」とあった。しかし、その動画は再生してもずっと画面が暗いままで、坂下は事務所の人の間違いだと考えた。坂下は「いつもそうだこの事務所は……」と、今までの事務所の雑な対応を次々に思い出す。
坂下の不満は爆発し、事務所の不手際を世に知らしめるため、その動画を拡散することを思いついた。
『なんかリリーが新しい動画あげてんだけど呪いの動画か何か?w』
そうコメントして投稿すると、その動画はすぐにバズった。
すると、坂下は動画に書かれていた「14秒のあたりで出てくる顔が怖すぎる」というコメントを見つける。
「…顔?いや、ただの動画じゃん。何も映ってるわけ…」と坂下は恐る恐る再生ボタンを押す。
そこに映っていたのは……。
さらに、思わずゾッとする衝撃的なラストに注目だ。
実際に作品を読んだ人からは「いいオチだった」「最後まで見たけど怖いな…」「めちゃくちゃ怖くていい」「読む手がとまらなかった」「みんな読むべきだ…」といった反応があがっている。
今回は、作者・酉村さんに制作についての話を伺った。
作者・酉村さんの創作背景とこだわり
――「推しに願いを」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
近年のSNS文化における「拡散」という要素を、言霊と絡められないかと考えて作りました。
――「推しに願いを」を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントはありますか?
主人公の人物像をできるだけリアルに描けるよう、実際に推し活をしている方々のSNS投稿を調べてみたりしました。
――今回多くの反響があったかと思いますが読者の声で酉村さんが特に印象に残っているものがあればお教えください。
アイドルであるリリー側に共感する人が多い中、主人公の側に立ち「自分も気をつけなければ」と自戒しているコメントもいくつか頂きました。
この作品における主人公は確かに悪人ですが、誰しもが心に持っている悪い部分を描けるよう心がけたので、そこに共感してもらえるのはとても嬉しかったです。
――酉村さんがホラー漫画を描かれる時に大切にされていることがあればお教えください。
ホラーは怖い部分もある一方で、救いになる要素も含んだジャンルだと思っています。
登場人物達が怖い思いをしつつも、自分の中の本心に気づき顧みれる瞬間が描ければと思っています。
――酉村さんの今後の展望や目標をお教えください。
怪談話にはこっくりさんのように時代を超えて愛されるものもあれば、きさらぎ駅や八尺様のようにネット文化に基づいて生まれた新しいものもあります。
今の時代の人々にとってより身近で新しいホラーが描けるようになりたいです。
――最後に酉村さんの作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
お仕事や学業が忙しい中私の作品を見つけ読んでくださってありがとうございます。
日々の仕事や生活の疲れを一瞬でも忘れられる、癒しや刺激になるような作品が作れるよう今後も頑張りますので、よろしくお願いします。