現地コーディネーターのオモニを探すことに
その第1話ラストで、思いがけない展開を迎えた。市場で出会ったキムチ店のオモニに、オモニたちにとっての癒しと教えてもらった「チムジルバン」(韓国の伝統的な温浴施設)へ向かった三吉。
そこでもオモニたちにフレンドリーに接してもらったなか、コーディネーター・ドネ氏のオモニについて聞いてみると、彼は7歳のときに生き分かれて覚えていないのだという。でも、この日1日、三吉がたくさんのオモニたちと楽しそうに話しているのを間近で見て、「母の笑顔は、ああなんだな」と思ったと。
すると、三吉はドネ氏の母を探そうと提案。手がかりは、半分に切り取られたドネ氏が写る写真のみという難しさだが、ドネ氏のオモニ探しが裏テーマとなった。
オモニたちとの出会いで三吉が得たもの
ソウル2日目の第2話では、三吉の韓国の友人おすすめのカリスマセラピストをしている“ビューティーオモニ”や、ドネ氏がアポイントを取ってくれた韓国の伝統服、韓服(ハンボク)の“デザイナーオモニ”が登場。三吉は彼女たちにもオモニについて問い掛けていく。子育てしながら仕事をしてきた彼女たちから出てくる言葉が深く胸に沁みる。
そして、韓国編の最後となる第3話では、「ミョンドンの母」と言われる占い師の元へ出向き、ドネ氏のことを占ってもらうところからスタート。そこで「韓国はITの国」という会話をヒントに、三吉がSNSでライブ配信をして、ドネ氏が持っていた写真を公開することに。すると、その場所がチェジュ島ではないかという投稿が。
そのチェジュ島で、ある海女さんとの出会いから、ドネ氏の母探しは切なさを帯びたドラマチックな展開を見せていった。
“原作”となるガイドブックの要素として、キンパやキムチなどグルメ、施設、伝統文化が登場しつつ、そこに生きるオモニたちの思いを引き出した三吉。「自分の人生は自分で切り拓くものだから」と語っていたビューティーオモニ、三吉がもらい泣きしたデザイナーオモニや母の思いが入った歌を伝承している海女さんたち。オモニたちは「犠牲」だったり、後悔があったりしながらも、強く生き、深い子どもたちへの慈しみがあり、それが他へと波及しているように感じられる。ラストで三吉が編集部への報告として、「今回オモニたちの生きざまに触れて、誰かのために生きることの美しさ、そして素晴らしさを感じることができました」と結んでいる通りだ。
本作では「本人役」ではあるのだが、現地の実際のなじみの人や友人と会ったときの穏やかな表情や、韓国語で会話する普段見られない三吉の一面が見られたのもいい。そして、その会話を通して、現地でオモニたちに会ってみたくなる魅力が増していた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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