TVerアワード2023受賞の傑作ドラマ3作品、その魅力を改めて振り返る「あなたがしてくれなくても」「VIVANT」「夫婦が壊れるとき」
「VIVANT」はストーリーもキャラクターもどこかアニメっぽい
昨年7月期にTBSの日曜劇場枠で放送され、社会現象とも言える反響を呼んだ「VIVANT」。注目されたのは、テレビドラマの常識を覆すスケールの壮大さだ。巨額な制作費を投じ、モンゴルで2ヶ月半にも及ぶ大規模なロケを敢行。テロリストによる爆破、銃撃ありのカーチェイスに、広大な砂漠での遊牧など、毎話派手なシーンの数々や、主演の堺雅人をはじめ、阿部寛、二階堂ふみ、役所広司、二宮和也、松坂桃李といった豪華俳優陣の名演に多くの視聴者が夢中になった。
物語は、商社マンの乃木憂助(堺)が会社で発生した誤送金事件の損失130億円を回収するため、中央アジアのバルカ共和国へ渡るところから展開されていく。だが、なぜか爆破事件の容疑者となり、現地の警察に追われる羽目に。“しがないサラリーマン”が大きな陰謀に巻き込まれていく話かと思いきや、どんどん予想だにしない事実が明らかとなり、最後まで飽きない作りになっていた。
老若男女問わず、幅広い年齢層の人々にウケたのは、ストーリーはもちろんキャラクターにどことなくアニメっぽさがあったからではないか。公安警察・野崎(阿部)の仲間であるドラム(富栄ドラム/声:林原めぐみ)、バルカ警察のチンギス(バルサラハガバ・バタボルド)、警視庁サイバー犯罪対策課の東条(濱田岳)など、それぞれのキャラが立っていて、若者を中心とした推し文化との相性が良かったと見られる。伏線が張り巡らされた複雑な内容で目が肥えた視聴者も楽しめる一方、そうしたエンターテインメント性の高さで視聴者層を拡大することに成功した。