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森山直太朗「“言葉では記号化できない涙”がたくさん出てきた旅でした」ドラマ「地球の歩き方」で得た多くの“気づき”を語る

2024/03/23 12:00

森山直太朗「“言葉では記号化できない涙”がたくさん出てきた旅でした」
森山直太朗「“言葉では記号化できない涙”がたくさん出てきた旅でした」(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会

“海外旅行のバイブル”として、長く愛されている書籍「地球の歩き方」。同書籍をもとにしたドラマがテレビ大阪・BSテレ東で放送中だ。三吉彩花森山未來松本まりかがそれぞれの旅を経て“オリジナル特集ページ”を組むに至り、最後の旅人・森山直太朗のニュージーランド編がスタートしている。今回はドラマの撮影を経て感じたこと、旅の意義について森山直太朗に語ってもらった。

「人生の価値ってこれしかないな」旅で得た出会いと経験


――まずは率直に、ニュージーランドの旅の感想を教えてください。

森山直太朗(以下、森山):夢みたいな時間でした。本当にいまも「僕たちはあの場所にいたのだろうか?と思うほど。それくらい突然舞い込んできた話だったし、それくらい弾丸だったし。

非日常的なことがたくさんあったので、いま東京の生活に戻って「アレ?夢だったんじゃないか」って(笑)。いま思い返しても「俺ホントに行ったのかな」って思うくらい。

――今回の旅はニュージーランドの先住民・マオリの聖地を訪れることになったのか教えてください。

森山:僕、音楽を作るっていう行為を媒介にしながら自分のルーツ、アイデンティティをどこかで探しているんですね。でもなかなか人間としての根っこって、受けている教育だったり文化だったりの影響でたどり着きにくい。

ニュージーランドの先住民のマオリの皆さんの話を聞いたとき、「なぜ日本人なのか」「なぜ生きているのか」「なぜ音楽を紡いでいるのか」といった根幹を感じられる旅になるんじゃないかなと感じたんです。

あと局のみなさんのプレゼンがすごく上手で(笑)。僕はキャンパーバン、キャンピングカーがめちゃくちゃ好きなんですけど、それに乗ってニュージーランドを縦断しませんかという誘い文句に乗せられて、うまく話に便乗しちゃいました。

――旅のなかで一番印象的なできごとを教えてください。

森山:本当にいろいろなことがありました(笑)。スタッフのみんなとの撮影とは違う珍道中だったり…でもやっぱり一番は、ノマド生活をしている若い皆さんとお会いしたことかな…。

成人して社会に出るとどこかで「社会とコミットして生きていかなきゃいけない」という常識とか教育ってあると思うんです。それ自体を否定するつもりはもちろんないのですが、彼らの“自分には自分の社会・世界があり、そのなかで自分が心地いい、生きていて面白いと思える人生を選ぶ”という感覚は新鮮でした。

たとえばとある女性は、自分が手作りしたアクセサリーを売って生活するスタイル。各地のフェスへ行き、その売上を財源としてキャンパーバンでパートナーと暮らしているんですね。

その暮らしって将来の生活も、明日のご飯すらも保証されてない生き方。でもそうしたなにも保証されていないことを差し置いても、なににも縛られない自由な生活を選んだわけです。

彼らのスタイルはとても印象的でしたし、「キャンパーバンでノマド生活して、気の合う仲間と…」って理想としてはみんな持ってると思うんですよ。でも実際それを人生の軸にして生活するのはそれ相応の覚悟と勇気、それをエンジョイする想像⼒が必要です。ところが彼女・彼らからは「本質的な豊かさ」という対価を得ているような…。そんな輝きを、瞳の奥に感じました。

ドラマ「地球の歩き方」ニュージーランド編
ドラマ「地球の歩き方」ニュージーランド編(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会

――今回の旅を通して得た気づきなどがあれば、教えてください。

森山:2つあります。まず1つが“やっぱり人間が音楽とか表現したり、なにかをしてしまう生き物”ということから気づいた点。「自分のアイデンティティを証明するため」とか「自己実現」とかあると思うんですが、そうした表現とか創作の根本にあるのは“祈り”とか“感謝”なんだなってことです。

自己表現って「自分のメッセージを…」ということではなくて、ただ自然との関係のなかでとか、生き物に感謝するというようなとっても根源的なエネルギーだと思うんです。そうした野性的な、普遍的な感覚はもっと僕らのなかに当たり前にあったのに、いつからか手放してしまった。五感を超えた第六感というか、そういうものって根源的にみんな持っているんだなって感じました。

一方向から見るととってもアナログだし、効率が悪くて、古いしきたり。でも別の角度から見るととっても新しくて、神秘的で、洗練された感覚なんだなって感覚を知りました。

あともう1つは、クオリティオブライフっていうのは人間が生きていくなかでとっても大切なんだなってことです。教育の一環として、月曜日の1時間目にあってもいいんじゃないかって思うくらい。やっぱ“人生が豊かになるもの”をそれぞれが見つけていくのが大事だなって。

今回の旅は約2000kmという日本を縦断するくらいの長い距離を移動しました。スタッフのみなさんとは初めてお会いしたんですが、カルマめいたものを感じたんです。先行きの見えそうで見えない時間を、転がる石のように旅できたことはとても貴重な経験でした。

いろいろな人との出会い、別れとその続きがあって、「人生の価値ってこれしかないな」って思うくらいの体験になりました。

――やはり、今後の作品作りにも影響がありそうでしょうか。

森山:そうですね(笑)。なきゃおかしいし、この感覚を忘れたくないなって思います。

「どうやって非効率を生み出すか」が現代人に必要なテーマ


――森山さんが思う“旅先の歩き方”を教えてください。

森山:去年まで全国ツアーで回ってたんですが…第三第四都市とか離島、佐渡島とか利尻島とか、いろいろなところへ行かせていただいて。今まで、国内のさまざまな場所へ訪れたことがあります。

今回はニュージーランドに訪れましたが、そこでもブルーレイクの周辺を散歩したり走ったりしました。そういう風に、自分の足で歩くっていうのが大事かなと思います。距離は稼げないですし、自転車や鉄道を乗り継いでいく旅も面白いけど、やっぱり自分の足で周辺を“ただ歩く”っていうこと。

そこには何もないかもしれないけど、そこで出会う人だったり、土地のなんでもない景色を感じたり、名も知らない鳥に遭遇したり…つまり「イイね」をしにくい、バズりにくい他愛のない景色のなかにこそ、その人の無意識に触れる出会いがあるんじゃないかなって思ってます。「世界が広いんだな」ってことをすごく身近に感じるというか。それは時間はかかるし効率も悪いんですけどね。

だからこそ現代人にとって「どうやって非効率を生み出すか」は、大切なテーマなんじゃないかなって、そう思うんです。

ドラマ「地球の歩き方」ニュージーランド編
ドラマ「地球の歩き方」ニュージーランド編(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会

――今回の旅で、鼻と鼻をこすりあわせる“ホンギ”や“ハカ”などマオリの文化を体感された感想を教えてください。

森山:すべてにおいてカルチャーショックでした。“ハカ”も間近で見るとすごい迫力で…。

ラグビーの試合などで披露されている“ハカ”を見たときは「へー」くらいの感覚だったんですけど、生で見るとホントに迫力がありました。実際に見たときは、なんか涙が出てきちゃって…。それは「怖かったから」とか喜怒哀楽のマトリクスじゃ表現できないような、根源的で、自分のなかにある知らない感覚を呼び覚まされたようでした。「お前にもあるだろう!この感情が!」みたいな刺激を味わいました(笑)。

ホンギもハカも、いまの物差しで測る常識とか豊かさ、そういう五感で感じられない、第六感に直接コンタクトされるような感覚がありました。“言葉では記号化できない涙”がたくさん出てきた旅でしたね。…すいません、ちょっとカッコいい響きの言葉を意識してます!(笑)

ドラマ「地球の歩き方」ニュージーランド編
ドラマ「地球の歩き方」ニュージーランド編(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会

――今回は歌唱シーンもあると伺っています。そうした部分を含め、旅の見どころを教えてください。

森山:さっきも言ったノマド生活をしている若者や、マオリの方々などいろいろな出会いがありました。そのなかで見どころといえるのは、「1人のおじさんが異国の旅に出たら、こんなアタフタするんだ」っていうところでしょうか(笑)。こんなおじさんでもめちゃめちゃアタフタして、情けない姿も1つ見どころなんじゃないかな(笑)。

ほかには、道中で得た自分なりの気づきもあって、音楽として奏でたりもしました。だから、「この旅で音楽ができたよ」っていうところですかね。

あと監督・永岩祐介さんの自然な演技じゃないですかね!(笑)

――ドラマということもあり、演技は意識されましたか。

森山:いえ、まったくないですね!やっぱ大きなベクトル、筋書きはあるんですけど「自由でいいよ」と言われてたので。だから台本通りいってないこともたくさんあるし、台本から脱線したことをみんなでワイワイ楽しみながらやっていたところも見どころかな。

上手く言えないですね…ドキュメンタリーなのかドラマなのか、よくわからない。素なんだけど素じゃないし、めちゃくちゃだなあと思いながらやっていました(笑)。でもそれがこの珍道中の個性になっていると思います。

ドラマ「地球の歩き方」ニュージーランド編
ドラマ「地球の歩き方」ニュージーランド編(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会

下に続きます
■ドラマ公式サイト
https://www.bs-tvtokyo.co.jp/arukikata/

■Lemino公式サイト
https://lemino.docomo.ne.jp

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【冬ドラマ】2024年1月期の新ドラマまとめ一覧

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2024/04/30(火) 00:30~01:00 /TVh

出演者:三吉彩花 森山未來 松本まりか 森山直太朗 

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