コロナ禍により配信のみとなっていたディズニー&ピクサーの「あの夏のルカ」が3月29日(金)より劇場公開される。イタリアの港町を舞台に繰り広げられる少年のひと夏の成長物語が、いよいよ映画館の大きなスクリーンに登場する。そこで、初めて劇場で見る人も楽しめるように今作の見どころを紹介したい。(以下、ネタバレを含みます)
泣ける名作3作から待望の劇場公開第2弾
第88回アカデミー賞長編アニメーションに輝いた作品の続編「インサイド・ヘッド2」が8月1日(木)より日本公開されることを記念し、劇場未公開3作品がスクリーンに初登場。いずれも配信開始されるや「泣ける」と評判を呼んだものばかりだ。
「私ときどきレッサーパンダ」に続く第2弾となる「あの夏のルカ」は、海の世界に住むシー・モンスターの少年ルカ(CV:阿部カノン)が主人公。海底に沈んでいる“人間のモノ”に興味津々のルカは、まだ見たことのない人間の世界への憧れは募るばかり。そんな時、人間の世界を知る同じシー・モンスターのアルベルト(CV:池田優斗)と出会い、ついに海の掟を破って2人で港町・ポルトロッソに足を踏み入れる、というストーリーだ。
アカデミー賞ノミネート監督の体験談を基に描く
第84回アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされたピクサー「月と少年」のエンリコ・カサローザ監督が、北イタリアで過ごした少年時代にインスピレーションを得て作り上げた本作。監督は「これは、人生の試練に立ち向かい、夢を追う勇気を見いだしたすべての人の物語です」と語っている。
ディズニー&ピクサーといえば「もしもの世界」を描くことに定評があるが、本作のシー・モンスターは海の中では人間のような手足がありつつエラや尾ひれがある魚類で、体が乾くと人間の姿になる性質を持ち、少しでも水に濡れると元の姿になってしまう生物。物語冒頭、シー・モンスターについて老いた漁師が「魚を独り占めしたい連中の作り話」と言っているが、港町ならではの都市伝説ともいえる未知の生物をモチーフに、モンスター=怪物として描く。
シー・モンスターを恐れてハンターもいる人間の世界。反対に海の世界が通常のルカたちにとっては、人間が未知の生物だ。よく知らないものを恐れる感情は多かれ少なかれ誰もが抱くもの。それでも抑えきれない少年たちの好奇心や冒険心が共感やワクワク感を生み、物語の世界へと誘う。
両親の言いつけを守る“いい子”だけど外の世界に魅了される臆病なルカが、恐れ知らずのアルベルトと友情を深めながら、人間の世界を体験していくキラキラした姿がスクリーンいっぱいに映し出されると、たまらなくいとおしくなるだろう。そして、2人が心通わせることになる人間の少女ジュリア(CV:福島香々)。周囲と違っていたり、はみ出し者だったりというような存在の彼らが、さまざまな困難を乗り越えてあることに挑戦する姿は応援せずにはいられなくなる。
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