「財閥家の末息子~Reborn Rich~」「優しい男」で見せたソン・ジュンギの“解釈力”
ソン・ジュンギを語るうえで外せない作品といえば、「優しい男」を挙げずにはいられないだろう。自分の人生を棒に振ってでも添い遂げようとした女性に裏切られた男が、さまざまなすれ違いを経て真実の愛を取り戻していくストーリー。
同ドラマでソン・ジュンギは愛する人に裏切られて心が凍りつき、女を騙して金を巻き上げる“ツバメ”の役を演じた。なにより驚くのは、ソン・ジュンギの演技のグラデーションだ。
愛する人を守るために罪をかぶる演技、女性不信になり復讐に燃える冷たい表情、そして最後の最後に描かれる“普通の恋愛”を楽しむ姿。それぞれがまったく別人のような目の色をしており、「月日を過ごすなかで心が変わったのだな」と物語の時間経過に強い説得力をもたらしている。
また2022年に韓国で放送された「財閥家の末息子~Reborn Rich~」では、1987年にタイムリープした秘書の役を熱演。会社に忠誠を尽くしていたにもかかわらず切り捨てられ、殺されたのち、会社を経営する一族の末息子として転生する。それからは自分を殺した人間を探し出すために奔走するのだが、なんといっても頭脳を武器に立ち回る演技がドハマりしていた。
「優しい男」でもそうだったが、ソン・ジュンギは表情の操り方が巧みだ。大人の魂が入っていることを悟られないようにしつつ、自分の有能さを会長にアピール。綱渡りのような緊張感のなかで社内政治を牛耳る手管や緻密な伏線も魅力的だが、“策”が思い通りに動いたときにソン・ジュンギが見せる微かな笑みが強烈。強い歓喜を封じ込めた“ドヤ顔”は、視聴者に1発で「計算ずくだったのか!」と知らしめる威力がある。
各役で共通するのは、ソン・ジュンギの深い“解釈力”だ。「この人生を歩んできた人間が、このシーンでどんな表情をするだろうか」の洞察が驚くほど真に迫っているように感じる。先にあげた表情の操作も、「誰にも表情を悟られないように」という重要ポイントを外さないための抑制した演技が目を引くのだろう。
さまざまな役柄を演じ、自身の努力と演技力で数々のヒット作を生み出してきたソン・ジュンギ。2023年第76回カンヌ国際映画祭で脚光を浴びた「ファラン」の主演など、まだまだ勢いが止まらない彼の次回作にも注目していきたい。
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▼「優しい男」をLeminoで見る▼
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▼「財閥家の末息子~Reborn Rich~」をLeminoで見る▼
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