コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、真夜中にお菓子を作りながら思いに暮れる『真夜中にベリーマフィンを焼く話』をピックアップ。作者である漫画家の午後さんが、2024月4月5日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、1.8万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では午後さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
「やることないし、焼き菓子でも作るかな」突然始まった真夜中のお菓子作り
一面に広がる花畑の夢をみていたオオカミ。目を覚まし、「なんだかとても良い夢をみた…」と思いながら時計を見ると夜の10時。オオカミは、当たり前のように寝ている猫を横目に「ぼへー…」っとしながら、“朝食にあたる夕食”を食べながら考え事をしていた。
オオカミはたまに、覚醒後もなかなか忘れられない夢を見る。そういう夢をみた日は、一日その内容に引っ張られることになる。あまり良くないらしいが、印象深かった夢は、書き残すようにしているという。しかし、数日後に見返したら、ありきたりな内容だったということもしばしば。
そんなことをしているうちに、店が次々に閉まり始める時刻になった。「やることもないし、焼き菓子でも作るかな」と思ったオオカミは、真夜中のお菓子作りを始めるのだった――。
エモーショナルな空気感があふれる本作を読んだ人たちからは、「ほっこりするイラスト」「夢の内容メモるの良くないんだ…」「マフィンおいしそう」「真夜中のお菓子作りって良いよね」「癒される」といった声が上がっている。
創作のきっかけは「ひとりでぼんやりと眺めるなんとも言えない時間を、誰かと共有したい」という思い
――『真夜中にベリーマフィンを焼く話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
深夜や早朝に放送している世界の風景映像を、ひとりでぼんやりと眺めるなんとも言えない時間を、誰かと共有したいと思ったことがきっかけです。
――本作では、出来上がったマフィンを“花の咲いた小さな丘”に例えている場面が印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
ストーリーの中のゆっくりとした時間の流れです。お菓子を作り終わっても、番組を観終わっても、まだまだ朝が来ない…。静かにゆっくりと這っていくような、深夜帯独特のあの感覚です。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
生地に冷凍ベリーミックスを混ぜた時のシーンでしょうか。なにかを作る途中の過程で「いいな」と思う瞬間は、完成品と同じくらい愛おしいものだと思います。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか。
日常生活を送っている中で、ふと「描き残しておきたい」と思った場面や感覚、感情をもとに作品を描いています。生きていく中で見つけた小さな発見や、自分の価値観の変化を誰かに共有している感覚です。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか。
線の流れやのびやかさを大切にして描いています。
――今後の展望や目標をお教えください。
話として綺麗にまとめるのではなく、今後もできるだけ正直に、感じたことや考えたことを描いていくことが目標です。夢物語ではなく、自分という人間にとっての現実を描き続けたいと思っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも本当にありがとうございます…とても支えられています。たまに甘いものを食べて肩の力を抜きつつ、一緒に生きていきましょう。