脚本に苦戦した“蓮見”というキャラへのこだわり
――視聴者が喜びそうな裏話があれば、教えてください。
全ての撮影が終わった後の取材で「どういう経緯でのキャスティングだったんですか?」と質問が長野さんに対してあったのですが、そういう話をご本人としたことが無かったので「実際どうだったか気になりますか?」と取材後私からも聞いてみたんです。そしたら「気になるけど、聞いちゃうとおしゃれじゃない気がするので聞かないでおきます」って答えた長野さんが、いい意味ですごく長野さんらしいなと思いました。現場では年上の人に囲まれて「りっちゃんかわいい」的な感じだったんですけど、改めてお話しする中で役者・長野凌大としての美学を感じて素敵だなと思いましたね。
長妻さんは、自分の出番が終わってもずっと現場に残って、スタッフと一緒にモニターを眺めていたりメイクさんとお話したりしていましたね。本当に太陽みたいな方です! そして気遣いの人でありつつ、その気遣いを周りには感じさせない、スマートな方だなと思いました。初めて皆が顔を合わせた本読みの時から、終わって帰るぞというときに「よし!じゃあ飲み行きますか!」とさらっと言ってのける長妻さんのフレンドリーさに、たくさん助けられました。
――この撮影苦戦したなと思ったシーンはありますか?
脚本全体の話になってしまうのですが、蓮見の見せ方はとても悩んだポイントです。今回蓮見というキャラクターは、原作からオリジナル要素を足している部分でもあり、三人の中でも蓮見が一番真意が見えないまま後半戦まで進んでいくんです。ただ、本心を見せられるシーンが少ない中でも、ささいな目線だったり、表情だったりという部分を長妻さんが丁寧に演じてくださったので、きっと最終話まで見た後に、もう一度蓮見に注目してみると「なるほど!そういうことだったのか!」と面白がってもらえるポイントにもなっているのではないかと思います。
律子像を作るため「こだわりが詰まっている」
――律子の女装姿で、こだわった点があれば教えてください。
長野さんの律子姿を初めて見たのは、まだ本読みも、衣装合わせもしてない段階でメイクテストをした時なのですが、これはいけるぞ!とスタッフが沸きました(笑)。おそらく長野さんご本人とメークさんだけ不安だったと思います(笑)。
メークは段階を踏んで少しずつ濃くしていき、もはや一番ナチュラルに近いメークの段階からかわいかったのですが、その中でもより女子に見えるラインを探しました。アイメークはがっつりして大丈夫だけど、チークまで入れると作りすぎてる感があるよね…とか、試行錯誤しましたね。あとはウィッグで眉毛を隠すのは死守しましょう! とか…1話ラストをご覧いただくと分かるのですが、眉毛が見えた瞬間、一気に印象が変わるよねという発見があり、いい意味でそれを律子・律樹のギャップにできるなと思いました。
――服装のポイントはありますか?
服装は量産系、韓国系、地雷系までさまざまなジャンルを試しました。原作に寄せると結構フリフリになるので、いったんそこまで振り切ったものも着てみたり…。結果、ひざ下のロングスカートでコーデを組もうとなったのですが、もともと長野さんの肩幅は華奢なので、足腰回りの骨格さえカバーできたら女子のシルエットが作れそうだ、という作戦です。苦戦したのは意外にも靴で、男性サイズのパンプスでヒールありだと、詩杏との身長差が出てしまうので極力フラットなものを衣装さんに探し回っていただきました。
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