大輔が無資格の会計士をかばう
甲斐は、大輔を連れてファームに戻ると、百合の事務所の定款と雇用契約書を頭に叩き込めと指示する。実は大河原は、出身大学を偽り無資格にも関わらず会計士として働いていたのだ。それを知った大輔は、大河原と自分の境遇を重ねてしまう。
あくる日、甲斐は、大河原を呼び出し、解雇を告げる。百合の事務所は大河原を訴えず、十分な額の退職金も用意するという条件だった。しかし、25年も事務所に尽くしてきた大河原は突然の解雇に納得できない。そのやり取りを聞いて我慢できなくなった大輔は、こんな解雇の仕方なんておかしい、一度百合と話し合うべきだ、とつい口を挟む。すると大河原は、大輔に同調して百合を批判し、不当解雇で訴えると言い残して席を立ってしまう。
“偽物”を隠して生きる大輔が吹っ切れる日は来るのか…
大輔は元々、悪友・谷元遊星(磯村勇斗)のせいで運び屋に成り下がり、偶然出会った甲斐に天才的な頭脳を買われて改名し、経歴詐称をして生きている。弁護士資格を持つ別人になりすまして生きているという身の上は、大河原の状況と同じであった。大輔は大河原に「僕は偽物の弁護士ですから」と語り、時々後ろめたいことを抱えているような表情を見せる。甲斐は「堂々としてろ」、「心配ない」と断言するが、大輔のような立場であれば、そこかしこに地雷が埋められているようなヒヤヒヤした日常は心休まらないだろう。
大河原が「所詮、偽物は偽物なんだよ」と漏らすのを大輔は何とも言えない顔をして見詰めていた。他人の目に映る姿が、必ずしも清く正しい順序を経て存在しているとは言い切れない。大輔が“なりすまし”の人生にどう蹴りを付けるのか、この先も見ていきたい。