十大聖人ふたりに圧勝で、シオンの強さが限界突破へ
リムルとヒナタの一騎打ちを筆頭に、シオンはレナードたちクルセイダーズを、ベニマル(CV:古川慎)はアルノー(CV:竹本英史)と、主要戦力が散開しての局地戦が始まる。シオンを前にしたレナードは、その圧倒的なオーラに驚きつつも、魔物に対して絶大な効果を誇る「霊子聖砲(ホーリーカノン)」を一斉射撃。ところがシオンは、その攻撃をいとも簡単に太刀ではじき返し、格の差を見せつける。さらには、なるべくなら殺さずにとの指示を受けているシオンは、レナードたちに最大の攻撃を促し、自分が耐え切ったら軍門に下ることを提案。誘いに乗ったギャルドは、周囲にいるクルセイダーズたちの力も借りて「極炎獄霊覇(インフェルノフレイム)」を発動するも、シオンは「料理人(サバクモノ)」のスキルで一刀両断、さらには結界のホーリーフィールドをも打ち砕いてしまう。「事象の書き換え」すら可能にするシオンの力を目の当たりにし、戦意を喪失したレナードたちはここでようやく降伏。さらにレナードはその後のシオンとの会話で、クルセイダーズを率いてテンペストへやってきたこと自体が交戦のきっかけであることを悟り、すべては己のミスだったことを悔いるのだった。
シオンとクルセイダーズとの戦いは、シオンの圧勝に終わった。十大聖人として讃えられるレナードとギャルドを一蹴したシオンの強さは、もはや我々が知っているシオンではない。彼女が獲得したサバクモノは、自分の望んだ結果を導き出せるスキルで、シンプルな怪力自慢だったころとは危険度がケタ違いなのは間違いない。またこれまではひたすらに力でゴリ押ししていたシオンだが、リムルの言いつけ通り極力殺さずに力量の差を見せつけるなど、冷静で理知的な戦闘スタイルも身につけ始めており、今後ますますの覚醒が楽しみな存在。会議シーンではトンチンカンで脳筋発言の多いシオンだが、戦闘では本当に頼りになる存在に成長したと言えるだろう。SNSでも「シオンにしては珍しく良心的な提案だな」「料理人は本当にチートwww」といった声が上がっていた。また一方で、レナードの冷静さとギャルドの無鉄砲ぶりが際立った戦闘でもあった。早々にシオンの力量を察し、勝てない相手だと判断したレナードに対して、ギャルドはただただ激昂するばかり。これにはレナードも違和感を感じる描写があったが、結局謎のままに決着。ギャルドは前話でくじ引きに負け、ヒナタに同行できないことを泣いて悔しがっている描写もあっただけに、憎めないキャラだったはず。それだけに今回は雰囲気が違っていて、戸惑った視聴者も多かったことだろう。ギャルドについては、今後その謎が明らかになることに期待しよう。
2度目のヒナタ戦は、どちらもシリーズ屈指の名バトルシーンに!
そのころ、リムルとヒナタは剣で互角の応酬を見せていた。以前に戦った時と比べて格段に強くなっているリムルの力に驚くヒナタだが、対魔に特化した伝説級の武具に装備変更し、改めて本気で戦いを挑んでいく。激しい攻防の末、身体能力の向上は凄まじいものの、剣の技術ではまだ自分に分があると確信したヒナタは、10年かけて磨き上げたその手腕を発揮し、次第にリムルを追い込んでいく。劣勢を強いられるリムルだったが、土壇場で「未来攻撃予測」を習得してヒナタの剣技に対応。このままでは埒が明かないと感じたヒナタは、リムルに次が最後の攻撃であることを告げ、それに耐え抜けばリムルの勝ちということに。それぞれに話し合いを望んでいたふたりではあるが、すでに賽は投げられており、覚悟を決めたヒナタ渾身の「崩魔霊子斬(メルトスラッシュ)」が炸裂する。しかしリムルはこれを「暴食の王(ベルゼビュート)」による相殺で耐え抜き、ヒナタに対して見事な勝利を収めるのだった。
終盤のリムルとヒナタの戦いは、とにかくアクションの魅力が詰まっている。「転スラは会議アニメ」とはよく言われるが、やっぱり珠玉のアクション作品でもあることを改めて認識させてくれる素晴らしいアクションシーンの連続だった。前半で見せた超速の鍔迫り合いもいいが、後半ではよりスロー演出を活用しており、「智慧之王(ラファエル)」との切迫した会話や緊張感あふれるBGMもあいまって、久しぶりにリムルのピンチを実感させられた。リムルのバトルシーンといえば、直近ではクレイマン(CV:子安武人)戦が印象的だが、あの時もまだまだ余裕はあった。その直前のミリム・ナーヴァ(CV:日高里菜)戦では一瞬は死を覚悟するも、こと「緊張感」という意味では前回と今回のヒナタ戦がトップにランクされるだろう。シオンの圧勝劇とは対照的な名バトルを繰り広げてくれたヒナタはさすがというほかない。これにはSNSでも「会議アニメとはなんだったのか」、「ギャップが凄すぎて笑うしかw」と賞賛の声が多数寄せられていた。
こうしてリムルに負けはしたものの、初めて大きな笑い声をあげ、屈託のない笑顔を見せるヒナタ。ところがその直後、七曜の奇襲が発動し、ヒナタはリムルをかばうために胸を貫かれてしまう。なんとも衝撃的なラストシーンに、SNSでは「笑ったヒナタ可愛いって思った直後にこれかよ!」「これリムルもガチギレだろ!」など、悲鳴があがっていた。次回第57話(第3期9話目)「七曜暗躍」は5月31日(金)放送予定。期待して待とう!
■文/岡本大介
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