「唯一無二の声と温度感に包み込まれた」(佐野晶哉)
——今回、共演された感想を教えて下さい。
佐野:前回、僕は成さんのセリフは一言しか聞けてないんですけど、その一言で僕、涙出てきて。唯一無二の声というか温度感というか、包み込まれたイメージがあって、今回はそれを浴び続けられた撮影期間でした。
平泉:佐野くんとは非常に仕事はやりやすかったですね。とてもやりやすかったし、素晴らしくて、羨ましいなと思って。佐野くんの年齢の時の俺はもっと読めていませんでしたよ。僕なんて80歳になってようやくですよ。芸能生活も60年だけど、あっという間でしたね。どんな仕事をしていようと、人生なんてみんな同じであっという間だよね。
——今回は芸能生活60年の平泉さん初の主演とあって、キャストも豪華ですね。佐藤浩市さんも共演されていて。
平泉:成さんの映画なら俺もと言ってくれたって監督からは聞きましたね。
佐野:僕、その場にいました! 監督や浩市さんとお食事行かせてもらった時に、浩市さんが成さんの記念的な映画なんだったら、俺も出られる役あったら出してよって言われて。
——それはすごい瞬間ですね。
佐野:本当に愛に溢れた空間でした。
——お互いに今後見てみたい役どころなどはありますか?
平泉:佐野くんの時代劇なんかもいいね。例えば藤沢周平原作ものとかの作品で、物静かでいてスケールのある役どころだったりが似合うと思うね。ぜひ見てみたいね。
佐野:ありがとうございます。僕は成さんが昔は悪い役が多かったと聞いて、優しいイメージしかないんで、また強い悪い成さんを見てみたいです。
平泉:悪役なんてそんないいものじゃないよ(笑)。いい役をやってきたスターさんがたまにやるからいいのであって、僕の場合は余裕がないから全部引き受けてやってきましたよ。しぶとく生き残るためにね。
——では、最後に本作をご覧になった感想を教えてください。
佐野:僕はまだ映像のお仕事に慣れてないというのがあって、まず初めて見させてもらった時に音楽がすごく素敵やなって印象的でした。いろんな角度からいろんなプロフェッショナルな人たちが作ってるのを感じました。映像作品ももっとやっていきたいです。ストーリーとしては、台本読んだ時や撮影した時のイメージとちょっと違って見えました。いろんな人の悩みが映し出される映画なんやろなって思っていたんですけれど、みんなそれぞれ思いを抱えながらも笑っていて、全編通して見るとこんな温かい映画やったんやって思いました。
平泉:この映画に登場する人たち、それぞれにスポットを当てた作品になってます。ちょっとしたことで生じる家族間の誤解やわだかまりが徐々にやわらいでいく…そんな映画になっていると思います。作り手の押しつけも一切ないしね。ちょっとでも温もりを感じてくれたら何よりです。
◆取材・文=入江奈々
撮影=小川拓洋
TCエンタテインメント
発売日: 2022/11/02