長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『世界が騒然!本当にあった(秘)衝撃ファイル』(毎週火夜6:25-、テレ東系)をチョイス。
探そう!ビッグフット『世界が騒然!本当にあった(秘)衝撃ファイル』
UMAや凶悪事件を扱う『世界が騒然!本当にあった(秘)衝撃ファイル』は、ただひたすらに、UMAの映像を見やすい編集で垂れ流してくれるので大好きだ。ネットでバズった映像を次々に流すような番組を見ると、「おい!TikTokから引っ張ってきてるじゃねーか!」と野次を飛ばしたくもなるのだが、UMAや心霊映像であれば腹も立たない。超ゴキゲンだ。自分の好きなものは精いっぱいひいきしよう、これは良いけどあれはダメ、一貫性などくそくらえである。
さて、今回の(秘)衝撃ファイル、超面白かった。テーマはビッグフット。どうやらビッグフットに詳しいらしい男たちが、ビッグフットの存在に懐疑的な生物学者を連れ、ビッグフットの捜索に向かうドキュメンタリーだ。もしかしたらフェイクなのかもしれないが、ともかく、みんなで大真面目に未確認生物を探しましょう、というお話は大好きだ。
とある古いホームビデオに映っていた、木にぶら下がる猿のようなシルエット。まあ猿でしょうと思うが、実はそうではない。その場所は、猿などの霊長類が生息しない地域だったのだ。
ということはビッグフットに違いない!という短絡的な決めつけが素晴らしい。動物園から逃げ出した猿の可能性もあるのではという真っ当な指摘も入るが、正論など関係ない。ビッグフットに違いない。そして、その姿を捉えるために、我々は危険を冒さなければならない。そういう連中の集まりなのである。まるで『ツイスター』、あの映画も、ただ竜巻が見たくて見たくて仕方のない連中のお話だった。巨大竜巻から逃げている最中、「見たい!見たいの!!」と竜巻に突っ込もうとするヘレン・ハントの姿は未だに目に焼き付いている。あんな人間になりたい。
さて、さすがに話がズレすぎたが、ともかく、彼らは当たり前にビッグフットを信じていて、にも拘らず、ほとんど丸腰で深夜の森へ調査に入っていく。ビッグフットの痕跡を探したり、集音器で声を拾おうとするのはまだしも、遠吠えをしたり、わざと危険を知らせる合図を出したりする。そんなことをして大丈夫なのかと思うのだが、彼らはビッグフットを見つけることが目的なので問題はない。ビッグフットが現れ、自らに危険が迫ったとしても、それはそのときに考えればいい話。この無謀さというか、ストイックさというか……傍から見りゃオイオイと思うような危険行為を、当たり前に実施してしまうその背中に、私はあこがれてしまうのである。それと同じ理由で、高所にぶら下がって懸垂をしたりする若者の動画なんかにも、私は涙を流してしまうのだ。あと手汗。
■文/城戸
城戸(きど)
X(旧Twitter):@sh_s_sh_ma1996年生まれ。映画を観るのが好きなフリーライター。オモコロなどWEBメディアを中心に活躍。
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