モデルでありグラビアでも活躍する“モグラ女子”の代表的存在として世を席巻した馬場ふみかが6月21日に29歳の誕生日を迎えた。モデル業もグラビア業でも人気を博し、年齢性別問わず愛される馬場だが、演技の才能も有しており、現在は俳優としての活動がメインとなっている。そんな彼女の役者としてのキャリアを振り返ってみたい。
映画「パズル」で本格俳優デビュー
中学まで子ども劇団に所属し、中学時代には「新潟美少女図鑑」などでモデル経験もあった馬場。2014年、高校在学中に映画「パズル」に出演したことで本格的に俳優デビューをすると、同年から1年にわたって放送された「仮面ライダードライブ」(テレビ朝日系)でテレビドラマ初出演を果たす。2015年には週刊誌「週刊プレイボーイ」と「週刊ヤングジャンプ」(ともに集英社)でグラビアデビューを飾り、ファッション誌「non-no」(集英社)では専属モデルとなり、“モグラ女子”として一気にブレーク。
そんな彼女は、2014年以降もドラマ「ダマシバナシ」(2015年、日本テレビ系)、映画「MARS~ただ、君を愛してる~」(2016年)などコンスタントに作品に出演し、2016年には映画「黒い暴動」で早くも主演を務める。かつてガングロギャルだったアラサー女子の青春の軌跡を描いたガールズムービーだが、馬場は“ギャルではない時代”と“ギャルだった時代”、“ギャルを卒業した時代”と、時とともに変化する一人の女性の心情を、繊細でありながら時に大胆に、みずみずしく演じて、非凡な演技の才能を披露。同作は、8カ月間のロングラン上映を果たした。
2017年には、ドラマ「お前はまだグンマを知らない」(日本テレビ)、映画「劇場版 お前はまだグンマを知らない」、ドラマ「ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」(TBSほか)、ドラマ「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」(TBSほか)などでヒロインを務め、ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命‐ THE THIRD SEASON」(フジテレビ系)で“月9”に初登場し、俳優としての知名度を一気に上げた。
一筋縄ではいかない役も幅広くこなす
その後も主演、ヒロイン、助演と途切れることなくさまざまな役に挑み続け、ピュアで真っすぐな役や、ひと癖もふた癖もある難役、嫉妬にまみれた妻役、見た目とは裏腹に強かな美大生の役、恋愛経験が乏しい人気恋愛漫画家役など、演じてきた役は枚挙にいとまがない。それはひとえに馬場の役者としての気概によって成し得ているといえる。
女性同士の恋愛をテーマにしており、女性同士のキスシーンや性的表現も話題となったドラマ「百合だのかんだの」(2019年、フジテレビほか)では、見事に役を通して視聴者の目線を代弁したり、ドラマ「夫を社会的に抹殺する5つの方法」(2023年、テレ東系)では、第一子を流産して絶望のどん底に落とされた専業主婦が復讐(ふくしゅう)に囚われていくさまを情念たっぷりに演じ、視聴者を凍りつかせた。
さらに、古川雄大とW主演を務めたドラマ「恋と弾丸」(TBSほか)では、官能的なラブシーンを交えながら住む世界の違うヤクザの若頭との危険な恋に溺れていく女子大生を熱演した。同作は、普通の女子大生とヤクザの若頭が運命的に出会い求め合う“烈愛”ラブストーリー。箕野希望氏の大ヒット同名漫画が原作で、日本でのディズニープラスでの配信に加え同サイトを通じ世界配信もされた。
馬場は勝気で正義感が強い女子大生のユリを、古川がヤクザの若頭・桜夜才臣を演じた。漫画原作ならではのパワーワードもたっぷりちりばめられたセリフ回し、ただ色っぽいだけではなく桜が舞い散るアーティスティックなベッドシーン、逆光も多用した演出も鮮やかで、男女問わず大きな反響を呼んだ。心と体は切り離せるものではなく、“溺れてしまうほどの恋愛”を体当たりでリアルに演じた。
どんな作品においても役どころをいとわず挑み演じ切る姿から「作品のテーマや役を通して伝えたいメッセージを演技で全力で表現する」という気概が感じられ、それこそが俳優・馬場ふみかのアイデンティティーなのだろう。
2023年には自身がクリエーティブ・ディレクターを務めるインナーブランド「misora(ミソラ)」をローンチするなど、活動の幅を広げる馬場。20代最後の年から30代へ、女性としても人としても、まだまだいろいろなステージへと進んでいくであろう彼女の気概に満ちたこれからの活躍も追ってみたい。
◆文=原田健